もともと彩度の低い夜桜の色は、彼らの思考を通して高い彩度に塗り上げられていた頃があっただけに、本来の彩度を通り越して限りなく無彩色に近づいていく感覚の様子をここまで再現するか、と唸らされた作品。
【書籍化作品】 ・『いちいち癇に障るんですけどっ!』KADOKAWAビーズログ文庫 https://kakuyomu.jp/publication/entry…
暖かい花の季節に咲いた一つの恋が、同じ季節を巡り、次第に変化していく。それを辿った物語の構成が、二人の関係の変化を強く映し出しています。時を重ねるごとに翳り彩度を落としていく彼女の心が、鮮やか…続きを読む
果実と同じく表皮が固くなる頃には既に中身は腐っている。 その想いに指を突き立てれば、ずぶりと柔らかな感触と共に抜け出せないほどに絡め取られていく。 腐れ縁とは良く言ったもの。しがらみを断ち切…続きを読む
若く、甘い恋愛物語から大人に移り変わって行く中で夢を語る二人。だが、現実は辛く夢破れることもある。その中でかつての美しい思い出だけが繋ぎとめているというのが何とも切ないです。散り逝く様が醜いか…続きを読む
美しい満開の桜を前に花咲く若い恋はまさしく蕾でした。やがて蕾は大きく花開き、りんと輝きます。けれど花の咲く美しい時期は常に短く、咲き終わればはらはらと花びらを落とし、地を覆い、腐っていく。花の生…続きを読む
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