たとえ腐朽していても、衰退はしない。桜の樹のように。


暖かい花の季節に咲いた一つの恋が、同じ季節を巡り、次第に変化していく。それを辿った物語の構成が、二人の関係の変化を強く映し出しています。

時を重ねるごとに翳り彩度を落としていく彼女の心が、鮮やかな桜の花と対比するようで、退廃的な美しさを感じました。

桜は、内では腐朽していても外では変わらず綺麗な花を咲かせます。
それと同じように、彼の輝いていたはずの心が腐ってしまっていても、外見はあの頃と変わらない愛する彼のままなのです。所以、彼女の愛情は枯れることを知らぬ。

その他のおすすめレビュー

泉坂 光輝さんの他のおすすめレビュー40