謎は優しい雨音のように緩かなリズムで透明になる

背景にはいつも雨がある。
その雨音が聞こえるように、作中で描かれる雨は酷く頭に残る。

容疑者というかたちで事件に巻き込まれてしまう大学生の湊ちゃん。
彼女の記憶の中の雨は、五感を鈍らせるほどに激しく、穏やかな景色をも隠してしまうものなのでしょう。
しかし、事件を解く鍵であるこの雨は、ある大学生探偵の手によって彼女を救うものになる。

しっとりとした雰囲気に似合う文章表現がとても美しいです。流れる雨音のように滞りのない推理と、雨を映すような静かな物腰の探偵、白峰くん。その達観した雰囲気と佇まいがとても魅力的です。

ストーリーの中で展開される謎だけでなく、二人にも秘密があるところもまた面白いです。

今後も楽しみにしております。