概要
長年にわたり紛争を続ける二カ国の国境線――通称ブラッドラインで、世界的歌手である「M」の射殺体が発見された。
アメリカ、ロシア、日本――。Mの死で影響を受けた世界中の人々が動き出す。事件の真相が明らかになるとき、世界は変わるかもしれない――ほんの少しだけ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!戦争と平和ってこういうことだよな、と鮮明に分からせてくれる作品
これまで読んだ小説の中で、トップレベルで心と頭を動かされた。それなのに、読みやすさは抜群。気づけば時間を忘れ、最後まで一気に読み進めていた。
人物の表情や風景がありありと浮かんでくる、細かくも、分かりやすい情景描写には驚かされた。また、出てくる人物に対し、国や年齢も違うはずなのに、どこか共感できる部分を誰に対しても感じる。それによって、テーマは「戦争」ではあるが、とても身近に、自分ごとに落とし込めるようにストーリーに入り込むことができる。
章が変わるごとに舞台の国は変わっていくが、至る所に張られている伏線が、次々と回収されていくのがとても快感。多すぎずもなく、少なすぎずの数の伏線たちが、「…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読んだ後、キャッチコピーをもう一度見て下さい。
読み終わった後、カクヨムを閉じ、音楽を聴いたりトイレに行ったりごはんを食べたり、そうした日常を過ごしている最中、ふいにこの小説のことを思い出しては、ぼうっと思考に浸ってしまいました。
心に引っかかっているというレベルではありません。色濃く、残っているのです。
いてもたってもいられなくなり、自己満足であるかもしれませんが、こうしてレビューを書くことにしました。しかし、感想に近い文章になっています。ご了承ください。
ただ、現実を書いています。ありのままの、飾らない、綺麗事も絵空事も何一つ無い、現実のみを。なので、この小説を、「娯楽」として楽しむことは出来ないと思います。
実に静かに、淡々と、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一つの事象──戦争──を多角的に描いて思考を挑発する傑作。
戦争という古今東西変わらぬ重いテーマ、
それを鮮やかな視点の切り替えで描いた
素晴らしい作品です。
思考を起動する作品でした、
よい読書をお楽しみ下さい。
と、簡潔に評を終えるのもよいと
思いますが、以下に蛇足を少々。
※
発生事象について事実は一つしかない、
しかして真実は関与する人それぞれに
与えられる、と考えます。
何故なら、事実は外部的なものであり、
人との関わりを要しませんが、真実は
内部的であって人の内にしか発生しない
と考えるがゆえです。
自然界は真実を必要とはせず、
人だけが真実を必要とします。
つまり、真実は人により色が違う。
歴史的経緯から怨恨を抱く人、怨…続きを読む