戦争と平和ってこういうことだよな、と鮮明に分からせてくれる作品

これまで読んだ小説の中で、トップレベルで心と頭を動かされた。それなのに、読みやすさは抜群。気づけば時間を忘れ、最後まで一気に読み進めていた。
人物の表情や風景がありありと浮かんでくる、細かくも、分かりやすい情景描写には驚かされた。また、出てくる人物に対し、国や年齢も違うはずなのに、どこか共感できる部分を誰に対しても感じる。それによって、テーマは「戦争」ではあるが、とても身近に、自分ごとに落とし込めるようにストーリーに入り込むことができる。

章が変わるごとに舞台の国は変わっていくが、至る所に張られている伏線が、次々と回収されていくのがとても快感。多すぎずもなく、少なすぎずの数の伏線たちが、「待ってました」というタイミングで回収されていくので読んでいて飽きない。

作者は一体なぜ、このような結末を設定したんだろう、、、
読んで数日経った今も、そのなんとも言えない良い意味でのモヤモヤ感と、登場人物たちの顔が思い浮かぶ。
今の時代だからこそ、多くの人が読むべき小説だと強く薦めたい。

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