概要
カクヨムマガジンvol2収録作。真実は1つ『じゃない』アンチミステリ。
「私はお兄ちゃんが好き。あらゆる心理(真理)を引っくり返す、お兄ちゃんが好き」
精神科医の母を持つ女子高生・湯島泪(ゆしまルイ)は、双子の兄・涙(ナミダ)を慕うブラザー・コンプレックスである。
高校で起きた『ある事故』以降、兄妹はさまざまな心理学になぞらえた猟奇犯罪と遭遇する。
学校内外で多発したそれらは『隠し通路』や『密室』など、推理小説によくあるギミックが盛り込まれていた。あたかも二人を試すように——。
※カクヨムマガジンvol.2(電子書籍)に本作が収録されました!
https://kakuyomu.jp/info/entry/kakuyomu_magazine_vol2_stores
※カクヨム公式編集者様に本作がピックアップされました!
https://kakuyom
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!不完全な存在である事が、一つの“完全”である事の証左
先天的にしろそうでないにしろ、
この物語の主要人物は序盤から、多くのモノを欠いた存在として強く主張されている。
あらゆるメタファーが多次元的に束ねられ集約される対象が彼なれば、その人物像もより強固かつ柔軟なモノに仕上がるのも納得です。
そも“完全”というのも実に多面的なパーソンだ。
人として、性別として、社会的立場として、つきまとってくるソレらの弱みを、
全肯定という偏愛によって希釈するという均衡の保ち方が、実に危うげでキミらしい作風でイイ。
そうして表した普遍性を“可愛げ”として読者に捉えさせた時点で、
もうミステリーとして確立と成功が約束されているモノだと断言できる。
まだ第二幕ほど…続きを読む