これも叙述トリックというのでしょうか

この作品は小説的なカテゴリー分けをすると、いわゆる群像劇というものに当たるわけですが、群像劇というのはその性質上、話をまとめるのが非常に難しいです。
それでも、この作品はきれいにまとまっている。一話ごとに描かれる国が変わり、スポットライトのあたる人物の年齢が変わり、立場が変わり、と一方向からではなく多方面にNの死について描くことによって最終章が生きる。そして、あの綺麗な最後。遺言という言葉の先入観をうまく利用したとても素晴らしいものでした。あくまで現実的に。とても好みな作品です。