支えがあるからやっていける。長ったらしい言葉はいらない。「ごめんね」と「ありがとう」、それだけで伝わる。そんな、心温まる素敵な夫婦の物語です。作中に登場するお茶漬けが優しさとともに身体へと沁み込んでいき、読後、お茶漬けを食べた時のようにほっと温まる作品です♪
ずっと空手に時間を費やしてきた夫と、それを支えたいと望む妻。疲弊した彼は、自信の能力と家庭を省みる。そんな彼を癒すのは、妻の細やかな言葉と食事。素朴な味と飾らない会話に見える優しい愛情が、二人の関係を鮮明に映し出していると感じました。妻はあくまでも後ろを歩く控えめな姿勢ではあるけれど、夫の抱く複雑な心情を優しく掬ってくれているのではないかと思います。見守ることが支えになる。胸に沁みるお話でした。
ああ夫婦っていいなぁ……と感じられる良い短編でした。夫から妻への、妻から夫への互いの愛があふれています。また、作品としての質の良さだけでなく同じプロットで文体の違いを楽しむという企画のテーマにうまく沿っていて、作者さんのオリジナリティを感じる作品でもありました。
上手く言葉には出来ないのですが、アキオさんが物静かでありながらヒーローのようで、ミカに出来る限り気を遣わせないようにしているのが格好いい(少し違うかもしれないけれど)と思いました。
大体の格闘技はお金にならない。それどころか鍛錬、肉体維持、指導のために、生活の殆どの時間が奪われてしまう。それでも、夫の気持ちを汲んで一歩後ろを歩いてきた妻への感謝や色々な感情が、短い中におり混ざった名作。
作者さんの物語の主人公は今回のように格闘家であることが多いのですが、格闘家が主人公でこんなにもしみじみと優しい物語は珍しいなと思いました。(でも、ちゃんと格闘の世界の凄まじさの描写が入るのはさすが)主人公を見守り、気遣う奥さんの優しさと、想いを込めたお茶漬け。とても胸に沁み、お腹も(愛で)いっぱいになれる、静かで愛情たっぷりの夫婦愛の物語です。あなたも、読んだらきっと温かい気持ちになれることでしょう。
書いてくださってありがとうございます!やはり、梧桐さんお得意の格闘もの!そして、最後はホロリとさせられました…。信頼して誰より身近に感じる存在だからこそ、見せたくないものもあるし、見て欲しいものもありますよね。そんな深い絆が伝わってきました。
ずっと空手に全てを捧げてきたアキオとその妻ミカのさりげないやりとり。本当にシンプルな話なのに、格闘モノを読んだという実感と、しみじみと残る余韻。この筆力はさすが。
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