桜が、そして「永遠」という言葉が、象徴しているものは――

 高校生の頃、桜の下で出会った、透明感あふれる恋。「若い恋」は、流れゆく時間と共に、「大人の恋」へと変質してゆく。主人公にとって、それは幸せへと向かう過程なのか、はたまた……。

 あまりにも衝撃的かつリアリティのあるストーリーに、すっかり度肝を抜かれました。変化するシチュエーションに合わせるかのように各話ごとの文体がわずかに違っている点も、私と「テツ」の二人がじわりと変わっていく雰囲気をさりげなく表現していて、その筆致に圧倒されます。
 ラストシーンのその後の展開を幾通りも想像し、希望と絶望の二つの感情にいつまでも揺り動かされてしまいました。

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