駅のホームに特急と各駅停車が停まっている。別々の列車に乗ることになっている男女の別れの話かと思いきや、実は……。
なぜ特急列車は空いているのか。
なぜ各駅停車には同じような客が乗っているのか。
なぜ二人の登場人物は別々の列車に乗らなければならないのか。
特急の行先はどこなのか――。
ゆったりと始まる物語を読み進めるうちに、きめ細やかに設定された「世界」がにわかに浮かび上がってきます。そして、ラスト近くのワンシーンがめちゃくちゃ怖くて切ない。中盤のギャグ的展開から一転して読み手を鳥肌モノの世界に突き落とす技量が半端ない作品です!