うつろいゆく時のなかで想いもまた変わる

美しい満開の桜を前に花咲く若い恋はまさしく蕾でした。やがて蕾は大きく花開き、りんと輝きます。けれど花の咲く美しい時期は常に短く、咲き終わればはらはらと花びらを落とし、地を覆い、腐っていく。

花の生涯と恋愛の浮き沈みを見事マッチングさせた作品でした。ラストもこれからどうなっていくのだろうと期待を持たせてくれます。

花は落ちようとも、時が来ればまた蕾を膨らませ咲き誇る。うつろいゆく時のなかで想いもまた変わってゆくのなら、彼女の選択ひとつでまた花の咲きかたも変わるのでしょう。

大人のほろ苦い恋愛ものをお探しの方にはお薦めしたい一作です。

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