男として考えさせられました。

この作品を読むのは三度目になります。

三度読んで毎回とも感じる感想は「突き刺さる」でした。
私は最初何故そう感じるのか判りませんでした。(バカだから)
何故そう感じるのか整理できレビュー書けるようになるまで三度読み直しが必要でした。


成長するにつれてテツへの主人公女性の見方が冷めてくると言うか、実像を把握しつつあるのが感じられる。
自信ある青春時代を誰もが送ったわけではない。
でも、多少は自負している部分を誰もが持っていただろう。
私もその一人。

でもそんなささやかな自負も、いろんな場所で大勢と出会うにつれて失われていく。ああ、自分が自負していたものはたいしたことないんだって。

多くの人はそんな自分を受け入れていき、過去の自分の思い込みを若気の至りと恥ずかしく感じたり、なかったことにして生きている。
自負をもっていたことも、それを失って現状を受け入れて生きていくことも、何も恥ずかしくないんだって肯定して生きている。
だって周囲も自分と同じだって判るから。私もそうでした。


それができず、でも自分の不甲斐なさや弱さを自覚しているテツは主人公に依存して、自分を保っている。
そんなテツの様子を、痛いなと思う自分も居ると同時に、もう一人の自分だったかもしれないと感じて、テツの姿が突き刺さる。

主人公は昔のテツと現在のテツの双方を知りながら、テツを受け入れていく。

そんな主人公の姿がとてもありがたいやら、辛いやらで、自分をテツに重ねると「う゛ぁぁぁぁぁ」と叫びたくなりました。

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