神、悪魔、そういった肩書きに囚われず、一度信頼した相手を信じて主人公は行動した。
信頼は、経験で生じる。主人公に誠実に接した者が信頼される。
そして主人公は信頼していたからこそ運命を変えるための行動を起こせた。
「ただじっと震えていては、運命は変えられない。」
作中の台詞ですが、そうは言っても、運命を変えるためにどう行動したらいいのか判らない。
この作品ではその指針を告げた者は主人公から頼られ、それに応えて信頼を得ていた。主人公の死をも恐れぬ行動力もたいしたものですが、信頼させ得た者があってこその行動力。
この作品の陰の主人公は明らかに信頼を得た者です。
世界・社会が個人を抑圧し、個の死へいたらせようとする現実社会でも、信頼しうる人を手に入れられたら、もしくは我々一人一人が信頼される者になれれば、誰かの「死」を防げるのではないか?
誰かのために、自分自身のために、信頼は運命を変える希望に繋がるのではないかとこの作品は感じさせてくれます
そんな寓話のような空気も感じさせてくれる作品でした。