ラブコメとは「恋愛を主題にしたコメディ要素が強い明るい作風の作品」である。
はい、ここー!
まさに本作『悲劇のヒロインにはなりませんから!』のこと。
これぞラブコメ!
ヒロイン志津本さん。自由奔放、めっちゃ元気で明るい一年生JK。男勝りでサッカー一筋、部活も当然のごとく女子サッカー部!
カッコいいんです、ヒロイン志津本さん♪
そんな彼女のお相手は……。
文庫本命。特に恋愛小説がお気に入り。時間さえあれば人との会話より読書。当然のことながら肌は真っ白、おたくを絵に描いたような男子市井くん?
いえ、ないない!
ただ市井くんはまんざらでもなく(苦笑)、志津本さんへ「熱烈ラブコール」を繰り広げる。可愛いんです。市井くん、すっごくかわいい。
恋愛ものの王道かと思いきやのドンでん返し、さらなる極めつけの大大大ドンでん返し。
一粒で数多の味わいを楽しめる至福の小説でした。
ラブコメパワー、圧巻!!
読後、真っ先に浮かんだのは「市井公介は志津本翠のどこに、もしくは何がきっかけで惚れたのか?」だ。
ヒロインが惚れた、市井公介の「ギャップ萌えさせるような格好良い場面」を見たからでも良いし、外見が好みでも何でもいい。とにかく惚れた理由が知りたいというのが私の読後感。
第一話からの、気持ちの悪い行動をしてまで特別な関係を築こうとしたからには、かなり惚れているはずだ。チート幼なじみに負けまいとするには、そうとうなモチベーションが必要なはずなんだ。
それが知りたいんだ!
……と思いつつも、そこに想像を入り込ませる余地があるからこそ、数度読み返して、市井公介の思いを汲み取ろうとしてしまうのだろう。
チッ、作者さんの罠にかかったのかもしれない。
短編だから、ネタバレしないよういろいろと述べたいのを我慢するけど、最後に一つだけ。
作者の安室さんらしい勢いのある文章と、ラブコメの王道的なほっこり展開。
さすがです!