概要
愛らしい七歳のジャスミンに向けて、婚約者のジャック王子はまるで珍獣を見るような目つきでそう言った。
あまりにも失礼な第一声に、ジャスミンはある決意する。
大国ヴァルト王国の王太子、ジャック・フィン=ヴァルトン。
建国から八十年のマール共和国の議長の娘、ジャスミン・ハル。
最悪の初顔合わせから十年、半年後の結婚までにヴァルト王国の王妃にふさわしい女になるようにと、ふたたびヴァルト王国に招かれる。
神なき王国には、奇跡は起きない。
異国の地で、ジャスミンは愛のために奮闘する。
「わたくし、心に決めましたの。ジャック様が愛さずにはいられない立派なレディになってみせると! ええ、ええ、浮気すらさせないくらい、わたくし、絶対にジャック様をとりこにし
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!逢えない時間が愛を拗らせるんです
この物語は、相手に気持ちを正しく伝えることの重要性を叩きつけてくる。
何せ、言葉を発した側と受け取った側、双方が十年という歳月を悶々として過ごすことになったのだ。結果を見れば、良い意味で「会えない時間」となったから、有益な十年だったのだけど。
ジャスミンとジャック、正直なところ精神力が子どもとは思えないほど強靱だ。
十年間も相手に嫌われていると思いつつも愛情を拗らせた。通常ならば、形式的なパートナーになるまでは良しとしても、自分を嫌っている相手をパートナーになど望まないだろう。
一度の告白でさえフラれることを恐れて躊躇うようでは、この二人のようには努力できないだろう。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ロミジュリ以来のジレジレ
信仰。
この世でもっとも厄介な価値観のひとつ。
本作は最悪の出会いから始まるラブコメの王道を踏襲しつつも、国家的な価値観の対立を描いたポリティカルフィクションでもある。
タイトルにもあるような政略結婚や権力の腐敗、そして跡目争いなど骨肉を食らい合う相克の関係性が随所に見てとれる。
それらはキャラクター造形にも活かされており、読めば読むほどに物語の深淵に驚かされるばかりである。
またヒロインが主として輿入れする館に巻き起こる一大BLブームや、それに敵対する百合至上主義との対立も必見である。
シリアスばかりではないバランス感覚に、著者のセンスを感じるられることだろう。 - ★★★ Excellent!!!んぁあん!! 両片思いがもどかしくって変な声でちゃう(おっさん)!!
変なひとこと紹介文も出ちゃう。(真顔)
いやほんと、今回のカクヨムコンで一番の「ニヨニヨ悶絶たまらん作品」として僕は推すねとキメ顔で言うくらい、両片思いの破壊力が半端ない作品。
おまえらー、おまえらーと、読んでて応援したくなることうけあいです。
幼い頃の顔合わせから、嫌われていると思い込んでる主人公ジャスミン。
そんな彼女を、幼い頃から「だいしゅき、けっこんしよう」(砂糖を口から吐きながら書いた)な王子ジャック。
そんな二人が政略結婚するとなってさぁ大変――になるのかと思ったら、なるんだなあこれが。超絶にかみ合わない両片思いぶり。
ジャスミンはなんとかしてジャックを振り返らせようとして空…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたもこのゲームを観戦しませんか? とても大きな、愛情の遊戯を。
この物語には、大河のような趣がある。
読者は観客となって、プレイヤーたる主人公達が、盤面でどう動くのかを楽しむことになる。
しかしその盤面には、とても大きな計略が仕組まれており、まるで運命のように彼ら彼女らを翻弄するのだ。
たとえば棋士は、対局のとき、何十手先をも読み切り駒を動かす。
けれど、それが想定外の一手で、完全にご破算になって立て直しを迫られたりもする。
結果、思いがけない活路を見いだすこともある。
これを運命に抗うといえば、それだけの話だが。
ここに人間模様が複雑に絡んでくれば、ひどく愉快な劇となる。
運命という盤上で、相手のことを手中に収めんと奔走し、ついには奇跡のような…続きを読む - ★★★ Excellent!!!じれじれカップル! 早くくっついちゃえ!!
幼い頃に婚約者であるジャックに泣かされたジャスミン。そんなジャックと恋に落ちてやると、ジャスミンはひたすら女に磨きをかけて、ジャックの国であるヴォルト王国に嫁いでくる。
一方、ジャックもジャスミンにメロメロ。けれど、幼い頃の出会いがトラウマになっている二人は、なかなか距離を縮めることが出来ない。
その上、お互いに今すぐ結婚したいと思う二人のあいだには、陰謀やジャックの父、コーネリアスの思惑も渦巻いて一筋縄ではいかない。
二人は、無事にお互いの気持ちに気がつき、結婚することが出来るのか!
ジャックとヒロインであるジャスミンのやりとりに焦れ焦れ、ニマニマできる作品です! それだけ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ああ、イライラする!
「どうして、お前たちは素直に物事を考えることができんのだ! すぱっと本音をぶつければ、それで済むだろう。馬鹿者と」
と思わせることこそ、ラブコメの王道。イライラは、それだけ本編にのめり込んでいることの証しであり、褒め言葉。
ジャスミン・ハルは、王太子、ジャック・フィン=ヴァルトンの妃となるべく、ヴァルト王国に招かれた。気合も十分、想いも十分なのに、なぜか物事はかみ合わず、落ち込む日々。実のところ、ジャックもそれは同じで……。
互いのことを思い合う恋人たちの(?)の描写が、実に鮮やかで、読み手を引きつける。情景描写も巧みで、それが恋人たちの置かれた状況を引き立てる。
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