ロミジュリ以来のジレジレ

信仰。
この世でもっとも厄介な価値観のひとつ。

本作は最悪の出会いから始まるラブコメの王道を踏襲しつつも、国家的な価値観の対立を描いたポリティカルフィクションでもある。

タイトルにもあるような政略結婚や権力の腐敗、そして跡目争いなど骨肉を食らい合う相克の関係性が随所に見てとれる。

それらはキャラクター造形にも活かされており、読めば読むほどに物語の深淵に驚かされるばかりである。

またヒロインが主として輿入れする館に巻き起こる一大BLブームや、それに敵対する百合至上主義との対立も必見である。

シリアスばかりではないバランス感覚に、著者のセンスを感じるられることだろう。

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