バイト先は後宮、胸に抱える目的は復讐　～泣き虫れおなの絶叫昂国日誌・第一部～

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（540文字）

古代中国風の世界を舞台とした、ファンタジー作品です。

ひょんなことからこの世界へ転移を果たしてしまった主人公は、心優しき付近の村人達に救われ、生活を共にするようになります。

けれど、その幸せは長くは続かず、異民族によって村は壊滅してしまいます。

なんとか村人達の仇を討ちたい主人公ですが、あらゆる力は不足しており、仇の居所すら分からない始末。

そんな時、主人公を保護した軍人は言いました。後宮に働きに出ないかと。

これは虎視眈々と仇討ちの機会を狙う主人公の、機転と学びの物語です。

序盤から見事に予想を裏切られました。
転生前の知識を活かした、穏やか楽しい異世界スローライフが始まったかと思いきや。
よもやその邑が賊の襲撃で滅ぼされ、お世話になった人たちが皆殺しにされるなんて。
憎き仇敵への怒りを原動力に、後宮の侍女をしながら知恵と殺意を研いでいく、主人公・麗央那の復讐劇がいま幕を開ける！

賢くて行動力があり、ある意味頑固でまっすぐな麗央那が、とにかく魅力的です。
彼女が自分の力で居場所を得、人脈を拡げていく様は、それだけで胸が躍ります。
血肉の通った数多くの登場人物たち。作り込まれた世界観がまた素晴らしいです。
非常にリーダビリティの高い文章で、この世界の理や死生観な…続きを読む

中華風の異世界、昴国へと迷い込んでしまったヒロイン。
高校受験を目前にして、さあ大変。
新学期どころの騒ぎではない。
しかし彼女のバイタリティは、読む者に勇気を与えてくれるのです。

大陸文化に精通する作者が、あまりに好き過ぎてこれまで手を付けてこなかったジャンル。それをついに解禁してくれました。
面白くないわけがない。

序盤は現代チート知識による村の手助けを、中盤以降は後宮を舞台として権謀術数に立ち向かいます。

独自の哲学や文化、死生観などが詰まった一級のエンターテイメント。
読んで損はなし。

詳しくは本編まで。