後宮の侍女、休職中に仇の家を焼く　～泣き虫れおなの絶叫昂国日誌・第二部～

自然災害である雪崩により、仇敵が動きを阻まれたお陰もあり、無事仇討ちが果たせてよかったです。
只、その後お慕いする御子を宿した貴妃に呪いを掛けた輩を討伐すべく、その元凶が後宮にあるとの知らせを受け、再び後宮に向かう次作が楽しみでなりません。

転生先の村を焼かれ、仇敵への復讐を誓った少女・麗央那の奮闘記の続編。
第一部でお世話になった後宮を離れ、村で一緒だった二人の仲間と共に、仇である覇聖凰を追って旅をするストーリーです。

今作の見どころは、何といっても少年少女たちの心の在り方の変化です。
十代半ばにして平穏な生活を失い、ただ一人の男の命を奪うために生きる道を選んだ彼らに、様々な試練が訪れます。
それがまともな人の道ではないこと。
羅刹悪鬼だとばかり思っていた男にも情があること。
あれほど激しく燃えていた復讐心が揺らいでしまう、麗央那の煩悶に深く共感しました。

進む道に迷う時、支えてくれるものは何なのか。これまで歩いてきた道の…続きを読む

現代日本人の異世界転移から始まって。
はやりの中華後宮もの、の枠にとらわれず、そこから飛び出してモンゴル的な草原世界が更なる冒険の舞台。

法治主義の現代日本では罪人は法が裁くものではありますが、そんな法なんて整備されていない異世界ならではの復讐物語です。
主人公のれおなが、現代日本の若者でありながらも、転移した異世界の環境で様々な経験をして成長し、信頼を得て仲間を増やし、たくましく生きる姿が印象的です。
物語全体の多彩なシーンに、生きるとは何なのか、という哲学が通底していて、れおなと仲間たちの冒険が読者の心に強く響いてくる作品です。