転生先の中華風異世界で、世話になった邑を焼き落とした仇敵への復讐がストーリーの主軸にあった第1部、第2部。
第3部では一転、後宮における主人を陥れた犯人を探す、知の力での立ち回りがメインとなる権謀術数が描かれていきます。
シリーズお馴染みのメンバーに加えて、麗央那が新たに仕える主・漣や先輩侍女・孤氷など、個性豊かなキャラクターたちが女の園の物語を彩ります。
誰をどこまで信用できるのか、誰が敵で誰が味方なのか、麗央那は誰と、何と戦っているのか。
再び後宮へと飛び込んだ麗央那の、知恵と機転と胆力が試される——!
敵討ちという苛烈な試練を乗り越えた後ではありますが、閉ざされた後宮内での力関係や水面下での駆け引きに緊迫感があり、この静かな戦いも非常に面白く拝読しました。
そして、これまで仇敵を殺すことばかりを生きるための原動力にしていた麗央那にとって、大きな転換点ともなるストーリーだったとも感じます。
それぞれに強さを持つ人々との出会い。
事件の真相を知り、さまざまな種類の強さを知って、一皮も二皮も剥けた麗央那。
彼女の姿をここまで追ってきたからこそ、沁み入るような感動を覚えました。
大きく成長を遂げた麗央那が、次にどんな活躍を見せてくれるのか、続く第4部も楽しみにお待ちしております。
とうとう元軍師からの謀略に相対する麗央那。翠さまに呪詛を掛けた首謀者に鉄槌すべく、元軍師の謀り事とは知らずに勧まれるまま後宮の元軍師の姪が妃の侍女として任に就く。ある妃の誤解が招いた嫉から命の危険にあったり、自らの異能に気付かされたりしながらも、後宮行の誘い自体が今回の陰謀の一つと知ることで、首謀者を炙り出せた手腕には感動しました。
最後には、龍神が現れ、しかも龍神の背中に乗り宮中・都上空を飛び回る様は、想像を超えた異様とも言わざる得ません。
今後仲良しトリオは同じ方向に進むのでしょうか。
それと、自身の異能を認識したことで、転移したことが偶然ではなく必然であったことが記されていくのでしょうか。