京都市東山区の神宮道を南に下がり三条通を渡った路地にある探偵事務所。
春瀬壱弥は探偵だ。
主人公は大学生の女の子、高槻ナラ。弁護士を目指す女の子。
もともと、その探偵事務所はナラの祖父の弁護士事務所だったのだ。
十も年の違う男女二人。いろいろだらしないイケメンの壱弥に、世話を焼くのがナラ。
そんな二人のもとに、依頼やもろもろで、事件が舞い込んでくる。でも、その一つ一つの事件は、人が死ぬ殺人事件のようなものではなくて、もう少し、ライトで、それでいて人情が漂う物語。
しっかりとした筆致に、筆者の京都愛が滲み出るような、様々な描写に、読み応えは抜群の、キャラクター文芸(だと思う)の連作短編です。
もちろん、期待の恋愛だって、ジワリジワリと……。直接的な表現は少ないものの、ナラが壱弥に惹かれていっているのは一目瞭然?
是非、秋の夜長に京都の東山まで、ページを捲ってトリップしていただければと思います!
まるで自分自身が物語の中に入り込んでしまったのかと思うくらい、情景描写が鮮明で素晴らしい。
たとえ家にいながらでも京都を感じる……いや、京都へ赴くことの出来る美しい作品です。
また、ミステリー作品としても秀逸であり、キャラクターもしっかりしていて、どんどんと引き込まれていきます。
人の死なないミステリー、緻密で鮮やかな謎と推理。
カッコいいのにどこか残念な探偵さんと、そんな探偵さんに助手として付き添う健気で可愛らしい女子大生、と魅力は満載です!
咳唾珠を成す作者の展開する京都ミステリー。
ぜひ、これを読んで京都にトリップしてみることをオススメします。
古都を舞台に繰り広げられる、くっきりとした色づかいなのに繊細で美しいミステリ。
自分のイメージでは、ミステリというのは、文章力や描写力がいまいちでもストーリーで引っ張ればどうにか……
というモノだったんですが、この作品はまるで違います。
人も鮮やか、街も鮮やか、そして事件も謎も鮮やか。
読ませる文章ですよね、ミステリなのに。
ああ、こんなに冴えた文章にこそ、この京都という街は似合う。
しかも、この京都はただの古都ではなくって、学問の街でもあり、京都弁の街でもあり、古書の街でもあり……、
京都をグッと煮詰めた京都なんです。
その京都を、余すことなく文章として盛り付けるのには、実力派でなければ無理です。
この作者さんの筆力は、目を見張るものがありますよ。
そうだ 京都、行こう
京都を舞台にした、読みごたえのあるミステリーです。
とても綺麗な文章で、美しい情景が頭の中に浮かびました。私は京都に行ったことはないのですが、たぶん実際に目で見るよりも美しい景色を、文章を通して見させていただいたと思っています。
本当にすごく綺麗でお洒落で、上品な文章表現に驚かされます。
物語も謎と意外性が絡み合って、常に先が気になる展開が用意されています。
どこかしら緩いけど頼りになる探偵役の壱弥さんと、元気いっぱいだけどすごく女性らしさを感じさせるナラちゃんの掛け合いも魅力的。
第一章の最後には、ウルッとさせられました。自信を持って、おすすめ致します