第403話 プリンスと『君の名は』

 ひまわりは、真っ赤なドレスだった。


 足下はヒール。

 15歳相手だし、高過ぎて動けないのも上手くない。

 適度な高さだが、元々モデル体型で背が高いから、驚くほどに格好がいい。


 ドレスは体にピッタリの大人っぽいタイプで、体型がはっきり見える。


 細いから、あまり無いと思っていた(←失礼)胸もしっかりあって……


 「うわっ、……あわわ……」


 妹だし、そう言う見方はしたことが無い。


 焦る兄に、

 「これ、体型出て恥ずかしいね。」

 「でも、似合ってますよ、ひまちゃん。」

 と、妹ズは通常営業。


 見てられなくて、視線を紺に移して、更に会心の一撃を食らう青。


 紺は、名前にかけた訳ではなく、2人とも得意魔法からの色だろうが、深い藍色のドレス。


 ひまわりよりはフリルなどの装飾があり、多少フェミニンな感じだが大人っぽい。

 銀髪金目、耳に尻尾が青いドレスに合う。


 紺、着痩せするタイプなのか、結構バストが……


 いや、俺、さっきから胸しか見てねえよ‼️


 「あ……

 いや、馬子にも、その……」


 妹相手だ。

 なんとか『馬子にも衣装』で切り抜けようとして、声がうわずる。


 と、追い討ちを食らった。


 「……この手のタイプの服、初めて着た。」

 「大抵の、一般家庭の日本人女子は初めてだと思うよ。」

 「うわっ、ヒール歩きにくい。」

 「環希、ヒールも初?」

 「研究室じゃ危ないだけだもん。」

 「七菜、意外と慣れてる?」

 「いや、竹馬だと思えば……」

 「「「竹馬って⁉️」」」


 4人娘が出てきたのだ。

 もちろんドレスに着替えて。


 背の高い未来は、ひまわりと同じ体にピッタリついたタイトなドレス。

 かなり濃い目のオレンジ色で、中身がガチャガチャの粗雑タイプとわかっていても、目を奪われる大人の女性だ。


 奏多、七菜、環希は、裾がふわりと広がる華やかなドレスで、薄化粧もされて普段とは違い過ぎる。

 奏多は青、七菜はレモン色、環希はグリーンで、いや、全員キレイだが、特に普段ズボン姿のみの奏多さんがめっちゃ女の人で……


 「……」

 青、絶句。


 ちなみに敢えて考えないようにしているが、もちろん胸もガッツリ見てます(笑)


 全員スタイルいい。


 まるで別人のプロポー……


 いや、昔のJ-POPかよ⁉️


 「すいませんでした‼️」


 青、最敬礼。


 腰を90度折って叫ぶ。


 「女性に対して『馬子にも衣装』は失礼でした‼️

 なめてました‼️」


 「いや、青っち……」

 「そんなこと考えてたんだ。」

 「いや、失礼だな、兄貴。」

 「「青君……」」

 「兄さん……」


 青がいろいろ言われている後ろでは、ショーンが呆然としている。


 大柄な青が頭を下げたことで、正面から女性陣が見えたのだ。


 緊張しているのか?

 ゴクリと生唾を飲み込む。


 それでもショーンは生真面目な性格らしく、真っ直ぐ奏多に歩み寄った。


 「奏多さん‼️」

 「?」

 「僕と結婚を前提にお付き合いして下さい‼️」


 奏多じゃなく、ショーンの背を押してしまったが……

 青の作戦、大成功。


 ショーンの一角うさぎ、名前は『カナ』。


 この2人、色ボケダンジョンがクッキーで認めた通り、元々両思いだった模様(笑)



 

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