第339話 最高責任者動く

 「大統領ぶん殴って止めれば良かったよ。」


 ネットの画面から聞こえたパワーワードに。


 「‼️」


 大統領は目を丸くする。


 さすがにこれは、 

 『知らなかった』で逃げられるとは思えなくて、金銭的保障の原案作成を指示していた。


 命は……

 返せない。


 なら金銭に代えるしかないし、早い対応だと思っていたが、まさか殴られる大ピンチだったとは。


 パソコン画面の後ろの方で、

 「兄さん……」

 「あはは‼️兄貴、それグッド‼️」

 赤井青の妹2人、大笑いしているし。


 しかも、止める者がいないのをいいことに、スゴいこと言い始めた⁉️


 「んじゃ、ショーンとあんた、日本に来る?」

 「えっ?」

 「俺はトーマス・ファーマーだ。」

 「わかった。

 ショーンとトーマス、あくまで来たければだけど、よかったら日本に来るか?」


 ……

 おいおい、ちょっと待ってくれ。


 若い方は世界的にも珍しい空間魔法使いだと聞いているし、もう1人もこのレイドバトルに参加している以上、かなりの高ランクカウボーイ……


 「君らに責任が無いとは言えないけど、やったことはやったことと認めている君達は、ここじゃ生きていき難いだろ?」


 ぐぅ……

 反論出来ない……


 いや、生き難いなら圧倒的に、やらかした上で言い訳だらけの他のカウボーイ達だろうが、彼らは救う価値など無いと言うことか?


 「国がどう対応するか知らんけど、まあ、どうにかするさ。」


 そうだ。

 相手は日本だし、外交的に圧力を……


 と、画面の中で妹達が動く。


 「兄さーん‼️」

 「リューちゃんが、オーケーって‼️」


 スマホを振って叫んでいる。


 青が出ると、

 「リュート?」

 『おう、青。面白いことしてるな、お前。

 誘えよ、俺らも。』

 と、まずはブーブー文句を言う。


 『今政府に連絡取った。

 人道的な懸念があるから、慎んで歓迎いたします、ってさ。』


 ???

 

 いきなり許可が取れてしまった。


 ぼやぼや迷っていると取り返しがつかないと、大統領にもわかり始める。


 ぶっちゃけ、年若い方……

 ショーン・ジョンソンは『英雄』なのだ。


 本人だけは、自らを戦犯みたいに思っているが、あの異常事態の中最後まで諦めず、人々を救い続けたアメリカンヒーロー……


 このまま掠め盗られるわけにはいかない。


 いや、赤井青に『掠め盗る』気持ちは全く無くて、単純に2人を守りたいだけなのだろうが……


 「おい、君。

 あれを準備してくれ。」


 秘書官に声をかけた大統領。


 遅ればせながら……


 彼もまた、戦場に立つ決意を固めた。


 「ラスベガスに……

 被災地に向かうぞ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る