第338話 大統領危機一髪(黒ひげみたいに言うな‼)
青はダンジョンプリンス(笑)だから『王子様』だが、今のカウボーイ達にとっては『魔神様』に他ならない。
救助活動をしていたはずの絶対強者に、最後通牒を突き付けられて。
「お前らはその態度でいいんだな。」
返事を間違うわけにはいかない、しかし、どう答えればいいかわからない。
息苦しくなるような緊張感の中、カウボーイの1人が『やっと』気付いた。
「あっ‼️」
「「「えっ⁉️」」」
いつの間にか結界が解除されている。
街の明かりが灯っている。
当たり前のラスベガスだ。
光る街を背景に、赤井青の妹達もこちらを見ている。
この世のものとは思えないくらい美しかった。
天使なのか、悪魔なのか?
ゾッとした。
「ダンジョン反転は終わったよ。中ボスのでかい牛もやっつけた。」
淡々と語る青。
「ただな……
隠したところでどうせ分かることだし、言うけどさ。」
「「「?」」」
「あそこに生き残ってる人はいないぞ。」
「「「‼️」」」
それは衝撃的な一言だった。
「えっ?」
「まさか……」
「全滅なのか?」
カウボーイ達から、救助された人々から、マスコミからうわ言みたいな声が上がる。
「俺は、『気配感知』を使って生存者を探ってたんだ。
そうやって救助したけど……
もういない。
悪いな。傷付けないように、とか無理だし、上手く言えない。
でも……
間違いないよ。」
苦々しい表情に、
「うっ。」
「うぅ。」
大切な誰かを失ったのだろう。
人々から嗚咽が上がり、マスコミ達も沈痛な面持ちで黙り込む。
万を越える人が犠牲になった事実に、フリーズしていたカウボーイ達から始まったのは盛大な言い訳合戦だ。
「いや、私達も役割を果たしただけで……」
「拒否など出来なかった。」
「こんなことになるとは思わなかった。」
「自ら進んでやった訳じゃない。」
「勘弁してくれ。我々にも家族がいるんだ‼️」
最後の、この世の全ての地雷を踏んだようなセリフは、
「なるほど。自分達には家族がいて、そのためなら許されて当然、と言うことか?」
「え……いや……」
「あそこにいる人達にも家族はいるぞ。」
と叩き潰される。
人々からの侮蔑の視線に晒され、そこまで拗れてからやっと気付いた。
マスコミのカメラがカウボーイ達を狙い、実はネット上で生中継されていた事実に愕然とする一同。
「おい、おっさん。」
「あ……」
「お前が企画立案したバトルなのは知ってるよ。
で?お前の上は?
どこまで許可を取った?どこまで知ってる?」
「カウボーイ協会の本部長に。本部長は、ダンジョン庁長官に。長官は大統領に。」
支部長の言葉に、これがアメリカと言う国全てが絡んだ計画だったと知った青は、そのままマスコミに歩み寄る。
「俺は日本の探索者、赤井青だ。
俺からも謝罪するよ。
入り込むのが遅すぎた。
いっそ、こうして無許可に、非合法に絡むなら、ダンジョン反転なんか起こす前に、大統領ぶん殴って止めれば良かったよ。」
‼️
大統領、危機一髪。
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