第406話 (15章おまけ③) 青君ズブートキャンプ、スライム編

 「いいか、お前らには強くなってもらわないと困るんだよ。」


 青が真剣に話している相手は、スライム。

 ハチとういろう。

 

 今彼らはロサンゼルスAダンジョンにいる。


 両思いであることが確認できたショーンと奏多はラスベガスに残し、半分くらい残っている旅行期間を楽しもうした一行だけれど、何せダンジョン馬鹿一代。

 まともな観光など思いつかず、

 「ダンジョン行きたい‼海外ダンジョン‼」

 「アメリカと日本でドロップが違うか調べたい。」

 「ダンジョン‼ダンジョン‼」

 と、女子大生ズが喧しかった。


 仕方がないから、アナハイムにディズニーランドもあるロサンゼルスに移動。


 本日はバラバラで行動している。


 ひまわりと紺はディズニーランド(護衛・白、タイヨウとゴンはお供)。


 七菜、環希、未来はロサンゼルスAダンジョン中層階まで(護衛・水まんじゅう、お供クロスケ)。


 で、嫌がるハチとういろうを抱きかかえ、結構な下層階に降りてきている青だ。


 周囲を取り囲むはマンティコア(人面ライオン)や巨大すぎるゴールデンベア(熊系のモンスターの中でかなり高位)だが……


 人目を気にして結界を張っているので問題無し。

 魔法石で紺の結界を具現化するのは、以前日本でもしたことがある。

 多少色も付けて中が見えないようになっているし、うろつく魔物も入れない強度だし。

 

 日本なら、まず青や俊太、自衛隊外局メンツくらいしか行き来しない階層だが、高ランクカウボーイの多いアメリカならあり得るし、転ばぬ先の杖だった。


 「いいか。お前らのご主人様は凄いんだぞ。」


 ま、まあ、別の意味でも結界があって良かったよ。

 スライムと、真顔で話す大男。

 怖っ。


 『そりゃそうだ。』

 『当然だ。』

 と言わんばかりに、スライムズ、ポヨポヨしている。


 「モンス相手なら、そんな場所に行かなければいいだけだ。

 でもな、悪い人間相手なら、それこそ拐われかねないんだよ、戦闘力無いし。」


 ポヨポヨ。


 「学校にいる場合は小春さんが守る。

 でもな、通学中や家ではお前らだけだ。

 お前らが守らないといけないんだぞ。」


 真剣に話してみたが……

 スライムズ、ポヨポヨしているだけで、今一つやる気が無い。


 まあ、スライムは飼い主に似る。

 ハチとういろう、あまり好戦的じゃ無いんだよね。


 どうしたもんかと悩んでいると、

 「「‼️」」

 急に目?で合図したスライムズ、突然ポヨポヨと動き出し、青の張る結界に飛び掛かる。


 飛び掛かる、と言うより、齧り付いた感じだった。

 スライム2匹が齧った途端、結界が消失する。


 「えっ⁉️」


 文字通り、たがが外れた感じだった。

 

 マンティコアと金の熊さん、鳴き声がゴブリン系。

 「「キャーッ‼️」」

 「「「キャーッ‼️」」」

 襲いかかってきた彼らを、青が一瞬で切り伏せる。


 『強欲』の効果で、魔剣やらインゴットやら宝石やら落としたのを、

 「危ないなぁ。なにやってんだよ……?」

 拾いながら、今更気付く。


 そう言えば、紺の結界がこんな簡単に壊れるか?

 そして今、回りには新たな結界が?


 「お前らが張ったの?」


 スライムズ、胸?を張る。


 よくわからないが、ハチとういろう、結界魔法を覚えたらしい。


 え?


 魔法を食べたから?


 「これは……

 帰ったら邦子さんにだけ報告しよう。」


 かなり危ない話である。


 チートスライムを作ってしまった💦


 出していい情報と悪い情報がある。


 さすがの青でもわかっているのだ。

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