第361話 プリンスの弟子達、お土産大作戦②

 世の中には、要領のいい人、悪い人がいる。


 例えば毒親に苦労させられた育ちの烏丸未来は、要領がいい。


 いや、『要領』と言うより『思い切り』がいい、のか?


 今回の、『大統領にお土産(ただし10000円以内)大作戦』では、『日本らしいお土産×10000円以内』を検索し、迷わず『男性用浴衣3点セット(浴衣、帯、丹前)』をポチっていた。


 プレゼントは、

 『喜んでくれるか?』

 『使ってくれるか?』を、悩むから決まらない。


 気は心、を理解しているのだ。


 予算内で、なかなか良いものをチョイス出来た。

 大統領の土産だしリサイクル品は避けた。

 当たり前だ。


 閑話休題。


 さて、要領の悪い人代表と言うか、真面目代表な七菜と奏多は、実店舗を見回っても何もピント来ないまま……


 2人の資金を合わせてウイスキーを買った。


 有名なサン○リーの『山崎』。

 

 あれ、1枚では買えないが、2枚で買えるか買えないかギリギリなのだ。


 これもまた、日本らしいことは間違いがない。


 なんとか終わったと脱力していると、

 「ごめん、七菜。

 もう1つ付き合って。」

 と、奏多が言う。


 「もう1つ?」

 「うん。ショーンにも何か持って行きたい。」


 ショーンは、奏多が気にしている男の子の名前で、これまた責任重大なミッションに少し気が遠くなる七菜だった。


 ショーンと奏多は付き合っている訳でなく、その前段階……

 友人よりも知り合いでしかない関係で、贈り物も行き過ぎる訳にはいかないし……


 もうっ‼️

 難易度高い‼️


 外国人だし、学生なら日本の文房具もありなのだが、カウボーイ(探索者)だし……


 「探索者が使える物って……

 武器防具じゃおかしいし、お守りとか?」


 それは商業施設で買うものじゃない上、かなり変だよ‼️


 珍しい、ショーンが絡むと奏多が暴走気味だから、七菜が突っ込み役になる。


 いや、もう頭が痛い……


 「そう言えば、俊太君もスゴかったって、前に青君、言ってたなぁ。」

 「俊太君って、青君の相棒の柳川俊太さん⁉️」


 つい口から出ていたらしく、奏多が聞き咎めた。


 「あ、うん。

 俊太君も今の奥さんに、

 『18になったらプロポーズするんだ』って、いつも言ってたらしいの、お付き合いもまだなのに。

 で、真面目にプロポーズして、成功させたって。」


 「そっかぁ。」

 「奏多?」

 「この際エンゲージリング、買っちゃうか。

 うん、それが……」

 「良くないからね。」


 暴走恋愛教教祖様の成功体験を聞き、更に暴走しそうな奏多を止める。


 うーん。

 普段と立ち位置違い過ぎる。


 「でも、お陰でいいこと思い付いた。」


 嫌な予感……


 「多少強引で、同時に運に任せることも必要ならさ。」

 「……」

 「七菜。今から『町田ダンジョン』付き合って。」


 ……

 はい?

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