第360話 プリンスの弟子達、お土産大作戦①

 「アメリカ⁉️行きます‼️」

 「また大統領にスイーツ奢らせよう、紺‼️」

 「ひまちゃん……」


 非常に軽い……

 普段なにやってんの?な返事が返り、妹ズの参加も決定した。


 赤井兄妹プラス白と水まんじゅうで、現地ではアベンジャーズな扱いらしい。


 中学生の冬休みを待って、日本時間の12月21日朝(現地20日の夕方)出発、10日ほど滞在し、30日には日本に帰る。


 「やっぱ、年末年始は家族と過ごさなきゃ、だな。」


 ある意味キャラ通りだか、年齢に合わない年寄りくさい発言で青がまとめたが……


 相手国の大統領の手を借りて入国すると言う、なかなかあり得ない状況に、七菜の精神はザワザワして落ち着かない。


 うーん、常識枠。


 『移動の翼』に便乗となると、行き帰りの交通費がまるっと浮く。


 「えー、めんどい。」

 環希だけは不平を言ったが(非常識枠)、一応4人で相談し、1人10000円前後で手土産を持参することとする。


 他国の大統領に、金額を決めてお土産を買う。

 『クリスマス会か⁉️』

 なノリに、常識人の心はやはり落ち着かないのだ。


 何を買うべきか悩んで幼馴染みに相談するも、

 「んー、なんでもいいんじゃね。

 あ、でもおっちゃんも家族も、日本の駄菓子が好きらしいし。

 うん、クロと同じだな。

 俺はうま○棒とか買ってくわ。」

 

 クロさんがどんな人(?)か知らないが、取り敢えず『参考にならない』ことだけはわかった七菜だった。


 「うー、何を買えばいいんだろう?」


 講義の無いこの日、1人暮らしの部屋で思考の海に沈んでみたが……

 思い付かない。


 インターネットで、

 『日本らしい土産×10000円以内』で検索する。

 やたら日本を強調した扇子とか、漆塗りのオルゴールとか。


 あ、浴衣セットとかある。


 ……

 いや、こう言うのじゃないよ‼️


 パソコンを睨んでいても埒が明かないので、取り敢えず街に出ることにした。


 七菜が暮らすのは、大学のキャンパスがある街の、女性用のワンルームマンションだ。


 部屋を出て歩き出す。


 うーん、やっぱり都会はスゴい。


 田舎育ちの七菜は思う。


 歩いて駅まで行けるし、電車だってひっきりなし。

 車が要らない。

 商業施設、たくさん。


 実際に、

 『見ながらの方が何か選べるだろう』と、商業施設に向かう七菜の前から、あの日だけ特別テンションがおかしかった、しかし通常は『馬鹿』が付くほど真面目でストイックな、見知った顔が歩いてくる。


 「七菜。」

 「奏多も?」

 「日本らしい土産×10000円以下?」

 「漆塗りのオルゴール。」


 いや……

 

 何の合い言葉だよ‼️

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る