第359話 プリンスの人脈がだいぶ異常
「は?アメリカぁ?」
いきなり過ぎて目を白黒させる青だったが、普段のストイックキャラはどこへやら、奏多の勢いは止まらない。
「そう‼️アメリカ‼️」
「あぁ?」
「急過ぎてチケットがとれないんです‼️
青君ならなんとか出来るんじゃないかと思って‼️」
厳密には、『チケットがとれない』訳じゃない。
ダンジョン時代になり、無くなった国、形の変わった国はあったものの、人の交流は当たり前にある。
年末年始は旅行のハイシーズンだ。
芸能人はハワイに行くよ❤️
兼業探索者として稼いでいたが、さすがに戸惑うような値段のチケットしか無かったらしい。
バタバタと遅れて講師室に駆け込んで来たのは、いつものメンバー。
「奏多……早い……」
「キャラが違う……」
「青君、聞いた⁉️」
研究科2名は青息吐息、未来が青に確認する。
「ああ。アメリカ行きたいって?」
「そうなの。
ほら、奏多、夏休みにバイトしたでしょ?
あれで、興味を持ったみたいで……」
「興味?」
言いながら、わざと視線をうろつかせる態度に、青は違和感を覚える。
烏丸は普段こんなことはしない。
何を言いたい?
夏休みのバイトって、あれか?
ショーンの案内を任せたの。
それで、
『アメリカに興味』って?
あっ⁉️
まさか、藤はショーンのことを⁉️
実は青、自分に対する好意にはとことん鈍感ではあるが、第三者同士の『惚れたはれた』は普通に気付く。
藤奏多は、ショーン・ジョンソンが好き。
それ故の大暴走と気付いたから、
『ならば協力してやろう』と、取り出した『相互理解のペンダント』をかけ、スマホを操作する。
「あ、悪い。今いい?
あー、時差とかマジでわかんねぇ。」
時差?
何か不穏な単語に、もしかして相談する相手を間違った……
と言うか、間違いなさ過ぎて想定を越えたかも知れない予感に、興奮気味だった奏多まで血の気がひく。
「ああ、今度また遊びに行くけどさ。
俺が教えてる学生4人もアメリカ行きたいって言うから、『移動の翼』で連れていきたいんだ。
……ああ。
普通の学生だし、……うん。
で、俺と一緒にそっちに行った後、順番は逆になるけど、空港行くから入国審査を……
あ、マジで?
じゃ、直接そっちに行くよ。
……うん。詳しい日時はまた連絡する。」
「「「「青君?」」」」
「ん?」
「「「「今のは?」」」」
「大統領。」
「うわっ、やっぱり‼️」
「いきなりラスボスじゃん‼️」
「……」
「なに、個人のナンバー知ってるのよ。」
突っ込みの嵐になるが、ホワイトハウスに直接転移、大統領がその場に入国審査官を呼んでおいてくれることで形がついた。
「他国の大統領と友達化してる……」
「ファーストネームで呼び合う仲、ってヤツだ(笑)」
「……環希。」
「笑い事じゃないよ、これ。」
「ねぇ‼️
『移動の翼』でのパーティー転移、人数集めたら飛行機とかより安く‼️」
言いかけて、七菜、奏多、未来に口をふさがれた。
それは既存のシステムを壊してしまう。
非常識は青だけじゃない。
身内にもヤバいヤツがいると、再確認した環希以外、だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます