第363話 クッキーか、せんべいか?(和菓子洋菓子どっちが好き?とか言う話ではない)
と言うわけで……
最近はやたら盛況な『町田ダンジョン』である。
レベル1……
いや、レベル無しの仮免状態でも危険が無いのだ。
『海の見える丘で鐘を突きに行く(某県の恋愛の名所)』のノリで、恋人達がダンジョン51階層を目指すのだった。
ちなみにダンジョン実習をしている大学生は予約枠で。
入場のため長蛇の列になっているラブラブ馬鹿ップル達の脇をすり抜けて睨まれたりした。
ただ後ろから現れる白い巨大犬とスライム連れの大男にビビり、小さくなるまでがお決まりだったが。
今回は急に思いついて行ったため、ピーク時間も外れすんなり入場出来た七菜と奏多だった。
初めて来た51階層は……
カオスだ。
研究科ゆえまともなレベル上げはしていない、レベル19の七菜さえ思う。
どう見ても初心者以下がゴロゴロいて、男女のカップルが多くて、イチャイチャしながらうさぎを追う。
「俺の強いところを見せてやるからな、朱美。」
「うん‼期待してる、卓志♡」
強いところを見せるために、追いかけるのはモンスターとはいえ普通サイズの幼気なうさぎ。
すごく嫌な男に見えるよ、卓志君。
まあ、そのうさぎ自体も、
『レーザービームかっ⁉』な勢いで逃げているので、おあいこだが(←何がっ?)
「やーん、捕まらなーい。征矢君との愛を確かめたいのにぃ♡」
「あ、はは……」
甘えたセリフに、死んだ魚の目の征矢君。
無理やり付き合わされたのがわかる、ご愁傷様。
「俺が必ず、香子にピンクダイヤモンドをプレゼントするからな‼」
「あー、くれるなら欲しいかも。」
うん、こちらは逆パターン。
香子ちゃんの目が氷点下だよ。
「頑張るんだ、美咲‼」
「うん、浩介‼」
「俺達のエンゲージリング、なんとかここで手に入れるんだ‼」
いや、それはそれで悲しくなるよ‼お2人さん‼
奏多暴走時限定、七菜の突っ込みモード絶好調。
出入り口付近は混みあっていたため、取り敢えず奥へと歩き出す。
『町田ダンジョン』が広くて良かった。
しかも51階層に来ているのはほぼほぼ素人、体力的にもまともな探索者には遠く及ばないから、正直あまり歩きたがらない。
20分ほど歩いただけで、周囲から雑音が無くなった。
「よし、じゃあ勝負だね。」
奏多が如意槍を抜き放つ。
恋は……
『戦い』なのだ。
チベスナ顔の七菜の前で格好つけた?セリフが、
「クッキーが出るか、せんべいが出るか?」
……
いや、まだそんな認識なのかーい⁉
七菜さん、突っ込み絶好調(2回目)。
実はこの色ボケ51階層、『外れ』もあるのだ(笑)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます