第402話 プリンスと晩餐館(←違うっ)

 「マジか?

 俺のサイズの服なんか、よくあったなぁ?」


 さて、お待ちかね?の晩餐会。


 自分のことなんかまるで考えていなかった青君、侍従とか言うらしい職員に連れられて、完璧に整えられてしまった。


 髪は後ろに流して固め、隙のないタキシード姿。

 バッチリサイズの合う革靴?

 いや、それにしては履きやすいのだが、正装用の靴まで誂えられていて、タキシードもやたら柔軟性があって動きやすい。


 「カウボーイ様の服ですので、正装とは言え動けるように作っています。

 靴も皮に見えますが、柔軟性に富んだ化学繊維です。」


 いや、ユ○クロかよ⁉️


 いや、それよりなんでサイズが……


 思い当たったのは、ホワイトハウスの監視カメラ。

 それで完全把握されたのだろう。


 言い出した翌日の晩餐会手配、作業時間が実質丸1日も無い、オーダーメイドの礼服手配。


 今更だが、

 『大統領ってかなりスゴい人なのか?』と、改めて思う青だった。


 「内輪のパーティーだから平服で、って言われたんですが……」


 ショーンもタキシードに着替えさせられ、戸惑っていた。


 背の小さな男なので、なかなか可愛い。


 「うん、馬子にも衣装。」

 「ひどいな、ミスター。」

 「俺は身長のせいで迫力ばかりが出ちまうから……

 羨ましいよ。」


 カッチリ正装での他愛いの無い会話の間も、青の後ろには白と水まんじゅうがいる。

 なるほど、探索者だ。


 ショーンの足下には一角うさぎが?


 「屈服させたの?」

 「いや、まだ僕のレベルじゃ無理です。

 先輩に貰いました。」


 ダンジョン反転時、ショーンの剣を取り上げた彼、気にしなくていいと言っても気になるらしく、変な気の使い方をする。


 一角うさぎも彼に貰った。


 「おー、ちゃんと鍛えてるな。」

 

 覗き込んだ青に、一角うさぎは『モーモー』鳴いた。


 可愛いけど……

 なかなかの面構えだ。


 「ミノタウロスくらい倒しますよ。」

 「へー、名前は?」

 「あ……

 いや、ラビ……」


 言葉を濁したショーンと、何故か『モーモー』不満そうなラビ。


 奇妙に思う青だったが、彼が余計なことを考えていられたのはここまでだ。


 「兄貴ぃ‼️なんかスゴい服用意されてた‼️」

 「うわわ。こんな服初めて着た。」


 先に姿を現したのは、ひまわりと紺だ。


 男どもと同じで……

 いや、女の子達の方がメインディッシュか?


 妹ズも着せ替え人形にされたのだ。


 奏多とショーンのために、晩餐会を提案した青。

 普段と違うシチュエーションに、気持ちを盛り上げようと画策した訳だが……


 「見て見て‼️似合う⁉️兄貴‼️」

 「どうですかねぇ?」


 完全ドレスアップした、最愛の妹ズの姿に……


 いや、自分がダメージ受けるとは思わなかったよ。


 


 

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