第401話 旅行とか、リゾートでレジャーとか、結構きっかけにはなるよね?(タイトル気楽過ぎる(;^ω^)

 リゾラバと言う言葉がある。


 リゾートラバー。

 いつもと違う場所に行って、素敵なサンセットとか見て、盛り上がってくっつくカップルが『言葉が出来るくらいいる』という事実だ。


 『晩餐館』じゃない『晩餐会』なら、ばっちりドレスアップするし、思わず背中を押されてしまうんじゃないかと言う、青には珍しい援護射撃だった。


 「あ、でもドレスだスーツだって、持ってないか?」


 青のつぶやきに事情を聴いた大統領が面白がり、 

 「こっちで用意しておく」と、請け合ってくれた。


 勿論、ショーンも招待してもらう。

 抜かりはない。


 「で、『竜巻感知』の功績に、アメリカとしては両名に1000万ドルずつ支払う用意がある。」


 ホワイトハウスでの第一声だ。


 1000万ドルって、14億くらいか。


 流石に計算は出来た。

 とは言え、金銭感覚が壊れ気味の探索者だ。


 『ふーん』と聞き流すが、

 「へ?マジ?」

 「え?」

 と、七菜と環希は流石に動揺。


 そんなに貰っていいものかと思う。


 「え、でも?」

 「私達、日本の大学生だし……」


 教育を受けさせてくれている日本への義理立てだってあるし、戸惑っていると、

 「大丈夫だ。史郎とはもう相談済みだ。」

 と、抜かりなく返る。


 史郎とは……

 現首相のファーストネームだ。


 大統領によると、いま世界では大騒ぎらしい。

 棚ぼた狙いのいい加減な特許申請、当てずっぽうの商標登録。


 日本や韓国、東南アジア諸国。

 欧州、オーストラリアにニュージーランド。


 友好国の、その全てをストップし、全世界同時の特許申請、即日受理を確約させた。


 こういうリーダーシップはさすがアメリカ、それだけ使いたい技術ということなのだ。


 「アメリカとしてはすごく悔しい。悔しいけど、君達を引き抜かないことは、史郎に確約している。

 だからどうか特許申請をして欲しい。」


 頼まれて、日本にも失礼に当たらないならと、十分なデータ集めも出来た2人は、特許申請を確約する。


 「ねえ、青君。」

 「ん?」

 「あの、みんなは危ないって言ったけど、『魔法石』を飛ばす技術は……」


 七菜は、誰もが使えるセーフティネットとしての『魔法石バズーカ(仮)』を発表したい。

 それは世間をより安全にする。


 ただ……


 「岡野。七菜。」

 「ん?」

 「何?」

 「2人とも、大学を出た後は自衛隊外局でいい?」


 この事態を想定していた青の言葉に、2人は頷いた。


 「うん。」

 「第1志望だし。」

 「なら。」


 青個人で、桶谷には連絡を入れていた。

 就職先として自衛隊外局を確定、荒っぽい組織なら攫いかねない、変な動きをけん制すると共に、産休明けのリハビリにちょうどいい、小春が慶応大学に詰めることとする。

 小春=ぬいぐるみ=鉄壁の守りだ。


 安全を確保した上で発表に踏み切る。

 技術には諸刃の剣な部分がある。

 正しく使えばそれだけの効果が得られる『反面』の危険性を、今この段階でアメリカと日本へ伝えることを、両国へのアドバンテージとした。


 一瞬で上級魔法が敵陣に到着する、知らなけらばパニック必至、戦局を左右しかねない新技術だ。


 「軍事転用するなとは言えないし、発表されれば気付く国は気付く。だから先に教えた。見返りはこんなもんでいいか?」

 リアリストの言葉に、

 「ああ。」

 と、大統領も大きく頷く。


 「あと、史郎さんにも連絡しといて。」

 「自国の首相を……

 さすがスーパーヒーロー。」


 次の竜巻シーズンまで半年もない。


 まずは要所要所に、『竜巻バスター(仮)』の配備を急ぐこととなる。


 役所や商業施設に備えられたそれは、なるべく『銃』の形を想定出来ない、消防のホースのようなものを手元のスイッチで操作するように、敢えて作った。


 書類等の関係もあり……

 特許は全世界同時に、来年早いうちに提出される流れになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る