第349話 (13章おまけ⑦) ばあちゃんと牛の日常

 結局ダンジョン反転が終結した翌日の夕方には、日本に帰ることにした。


 大統領はまだラスベガスにいたので挨拶に行く。


 「なんだ、もう帰るのか?」

 「ああ。馬鹿牛が『許してくれ‼️』って騒いでバトルになんねえ。

 俺んちの従魔にするよ。」


 青、ティディーベア状態のダンジョンボスを抱き上げながら話すから、大統領ドン引き。


 「え?じゃあ、Fダンジョンの中ボスは?」

 「ああ。新しい奴等がいるぞ。『1対1』縛りも解除したし、レイドバトル?っての、やっても大丈夫だ。

 でも、うちの妹達が戦ってみたけど、あいつらじゃ10人掛かりでも勝てないからさ。

 もう少し修行しろって言っといて。」


 ……

 いや、もう……


 君自身が、『ダンジョン』じゃないかと思えるよ。


 「くそう。変に顔が売れちまって、食べ歩きにも行けねえ。」

 「兄さん、大きなハンバーガーとか食べたがってたもんね。」

 「私もあり得ない色のケーキとか食べたかったよ‼️青とか、原色のヤツ‼️」

 「ひまちゃん……」


 いや、脳筋聖女な上妹、さりげにディスってる?


 「まあ、また来いよ。飯くらい奢るぞ。」

 「お?いいのか?

 俺もこいつらもいっぱい食うぞ‼️」


 あ、従魔も一緒なんだ。


 「いいぞ。」

 「おーっ、じゃあまた来るよ。」

 「グリーンカード、貰った甲斐がありましたねえ。」

 「私らは普通程度にしか食べないから、美味しいデザートよろしく。」


 いや、永住権の価値がバグる。


 まあ、

 『飯代程度であの連中と仲良く出来るなら、お釣りが来る』と思う、大統領だった。


     ☆     ☆     ☆


 日本に移動して自衛隊外局に連絡すると、

 「明日11時に来てくれ」と、言われた。


 食堂での昼飯食べ放題で手を打つ。


 外局に行くと、気難しそうな壮年親父が待っていた。


 「人命救助だし仕方がないのだろうけど、ちゃんと手続きを踏んでくれないと……」

 と、ごちゃごちゃ言っていた。


 「すいません。一刻を争う事態だったもので。」

 「ああ、一応わかっているよ。国として、何も言わないわけにはいかなくてね。」

 「はあ。」

 「あと、グリーンカード貰ったって?」

 「貰いましたよ。今度飯奢って貰いに行ってきますよ。」

 「い、移住とか?」

 「考えてはいませんよ。俺、日本人だし。」


 青の答えに、明らかにホッとした感じの男性との会談は終わった。


 「誰、あれ?」

 「青……お前……」

 「兄さん……」

 「あれ、総理大臣じゃん‼️」


 青、やはり日本の偉い人もわかっていなかった模様。


 昼は外局で奢って貰って、

 「青君‼️カース系のサンプル‼️」

 と、突撃してきた邦子にアイテムと魔石を渡す。


 少しばかりゆっくりして夕方家に戻ると、

 「「カレーだ‼️」」

 「いい匂いですね。」

 家の外まで美味しそうな香りが漂う。


 昨日青が渡した土産……

 ダンジョンドロップ品の高級牛肉だ。


 カース化すると、魔石もアイテムも禍々しい黒になり、効果は若干高くなる。

 食べ物系のドロップは質が上がった。


 いや、なんで?


 ダンジョン農園から、仕事を終えた海人が出てくるのと入れ替えに、大鍋を抱えた泉が入っていく。


 テイムしたオークのイーとアルとサンとスー、ミノタウロスのウーとリュイ、そして新しい仲間のでかミノさんのチーに、十分な晩御飯を運ぶのだ。




 今日でおまけは終わります。

 明日から新章です。

 今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m

 


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