第334話 嫌味みたいはドロップアイテム

 「貴様らも大勢でワシを弄るのか?」


 恨みがましいセリフに、青は大真面目に何を指摘されたかわからない。


 遅れて、白と水まんじゅうのことと気付く。


 いや、まったく素で気が付いていなかったよ。


 「ああ、こいつらは俺の友達だ。ダンジョン的には従魔ってヤツなのかな?

 見学者だから大丈夫だよ。」


 言いながら、

 「いいか、お前ら。ここでちゃんと見てろよ。」

 とか、2匹を撫でる場違い感に、むしろキング・シャーマン・ミノタウロス・エンペラーのほうが戸惑っていたりして。


 「いや、お前戦いに来たんだよな?」

 「そうだよ。ご同類が悪かったな。」

 「……」

 「とは言え、結構関係無い人まで巻き込んでくれたのは、腹に据えかねている。

 取り敢えず確認だ。

 俺が『1対1』で、ダンジョンのルール通りお前を倒せば、『ダンジョン反転』は終わるのか?」


 そこは重要だった。

 終わらないなら、中ボスであるキング・シャーマン・ミノタウロス・エンペラーを倒した後、一気に下まで……

 ダンジョンボスRTAもしないといけない。


 中ボスまでは倒したことがある青だが、その下の世界の無理な攻略はしたことがない。 


 初体験、命懸けの大冒険をしなければいけないか?瀬戸際ゆえの確認だったが、

 「正しい手順でワシを倒せば、ダンジョンは戻るぞ。」

 返事は理想的だった。


 多分クロなら、

 『そう言う風に出来ている。』

 と説明する、ダンジョンのルールなのだろう。


 「んじゃ、やるか。」


 短い言葉を合図に。


 青は『スライムが祝福した剣』を抜き放つ。


 キング・シャーマン・ミノタウロス・エンペラーが、さすがは『シャーマン』、巨大な火球を飛ばしてきた。


 実はキング・シャーマン・ミノタウロス・エンペラー、彼もカース化している。


 通常なら『他の中ボスより少し弱い(1対1設定のため)』はずが、今はクロよりもかなり強いように思える。


 ただし、『クロさん50回殺し』の青はまったく問題にしないのだ。


 さすがに、プロレス方式でわざと攻撃を受けるのはいただけない。


 剣の特殊効果である障壁を飛ばし、火球を防ぐどころか巻き込んで、火の固まりとしてキング・シャーマン・ミノタウロス・エンペラーに飛ばす。


 「なに⁉️」


 まさか自分の魔法ごと返されるとは思わなかったのだろう。


 怯んだ一瞬、目の前に飛び上がっていた青の剣が一閃した。


 首を飛ばされ、キング・シャーマン・ミノタウロス・エンペラーが消える。


 後には巨大な魔石(カース化していた影響か黒曜石のように黒光りしていた)と、ドロップアイテムであるエリクサーが3本あった。


 「おっせえよ。」

 もやもやして……

 青は呟く。

 


 

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