第10話 センチュリー★ナイトメアの白ミサへようこそ! 実はエターナルも信者だった!

10-OP 悠花ちゃんに恋人がいる疑惑

 伝説の腕相撲から数日後の昼下がり。

 夏休みももう終わりが近づいてきた。


 普通の高校生ならば宿題に追われる時期ではあるが、超天才の秀雄はそれらを七月中に終わらせている。そして蝶介はそれを見せてもらいながら、お盆前には写し終えた。

 蝶介と秀雄は、日が最も高く昇っている昼の時間帯に市営のジムでトレーニングを済ませ、今まさにそこから出てきたところだった。



「あら、蝶介に秀雄じゃない!」



 ちょうど向こうからリーサとマーヤがやってきた。ふたりとも丈の長い白色のノースリーブのワンピースにつばの大きな白い帽子をかぶっていた。

 二人並んで歩いているだけで絵になる美しさ(いやかわいさと言うべきだろうか)だった。道行く人々が鼻の下を伸ばしながら振り返るが、モデルのような女の子二人の視線の先に世紀末覇者ラオウあるいは凄腕の狙撃手デューク東郷のような強面の顔をした筋肉ムキムキの男が立っているのに気づくと、そそくさとその場を後にするのだった。



「おお、そこにおわすは姫とマーヤ殿ではありませぬか!」


 丸い眼鏡をくいっと持ち上げながら秀雄が二人に挨拶をする。蝶介も照れながら「……おう」と片手をあげる。


「あなたたちは相変わらず筋肉バカなのね」


 リーサがそう言うと、なぜか男子二人は表情を見せた。ナイトメア★四天王が現れてからほぼ毎日、彼らは時間を見つけて筋トレに勤しんでいるのだ。おかげで蝶介も秀雄も以前にも増して筋肉が付いてきてたくましくなってきた。

 特に筋トレを始めたばかりの秀雄の成長は著しく、おかっぱ頭に丸眼鏡の細マッチョという訳のわからないキャラクターになりつつあった。


「あれ、委員長は一緒じゃないのか?」

「そうですね、アネゴの姿が見当たりません」


 蝶介と秀雄がふと、いつも一緒に行動しているはずの悠花がいないことに気がついた。


「今日は、悠花お姉様は他の用事があるようでして……私たち二人でお買物をしておりました」とマーヤ。


 そっか、と悠花の顔を見ることができなくて少し残念そうな蝶介だったが「そうなの。どこに行くのかはぐらかされちゃったから……もしかしたらデートなのかもしれないわね」というリーサの言葉に目を見開いてしまった。



「お姉様っ……しーっですわ!」人のプライベートのあること無いことを勝手に喋ってはいけませんわ! とマーヤが慌ててそれを隠そうとするが、秀雄の眼鏡がキラリと光った。



「いやいや、アネゴほどの美しさと賢さを兼ね備えた女性なら、恋人の一人や二人いてもおかしくはないですね……むむ? しかしこれまでの魔法少女もののアニメですと恋愛禁止を謳っているものも多く存在しますが……姫。マジカル☆ドリーマーズにはそういった規則はないのでしょうか?」



「え……そんなの知らないし。いいんじゃない別に、私は誰が誰を好きとかあんまり興味ないわ。ねぇ、蝶介もそう思うでしょ」


「ぁは? あ、ああ。そうだな」


 素っ気ない返事を返す蝶介だったが、マーヤだけは一人気づいていた。

 ――あ、蝶介はきっと悠花お姉様の恋人のことが気になっていますわね。一瞬お姉様の言葉に動揺したのを私は見逃しませんでしたことよ!


「大丈夫です、蝶介。悠花お姉様はそこら辺のチャラい男について行くような方ではありませんわ。私たちが納得するような素敵な男性とお付き合いされているはずですから、ご安心ください」


 マーヤも他人の恋心を把握するのは苦手だった。



 ☆★☆



 ちょっと私のいないところでなんて話をしているのよ! 確かに……あんまり大きな声では言えないけど、大好きな人に会いに行くのは本当なの! きゃあっ、言っちゃった! 秘密だよ、絶対に秘密なんだから。特に番所くんには内緒にしていてよね!

 それでは、私の秘密が暴かれてしまう第10話、スタートです。

 誰ですか! 「悠花にまだ秘密があったのか」とか言っている人は!



 ☆★☆



【前回に引き続きお知らせ】

 魔法少女マジカル☆ドリーマーズの主題歌が「本当に」完成しました。

 僕のTwitterのトップ画面にありますので、ぜひお聞きください。

 https://twitter.com/mameie_clock

 楽譜は近況ノートに貼り付けてあります。そちらもぜひどうぞ。


 また、歌を作成するにあたり、歌詞が一部変更になっております。

 あと、ラップ部分は曲の中に入れておりません。



【魔法少女マジカル☆ドリーマーズ 主題歌】

 夢を守って! マジカル☆ドリーマーズ

 歌:M and W


 どんなにつらいときでも 夢は逃げださないから

 あきらめないで そんなときは 助けに行くよ マジカル☆ドリーマーズ


 SUNSUN 朝日が眩しい 今日も素敵な一日 始まる気がするよ 

 FUNFUN 楽しい出来事が 私たちを待っている


 <RAP>

 いつの間にか忘れかけていた 空見上げれば虹かかっていた

 夢は叶えるためにあるんだよ 雨は必ずいつかやむんだよ

 夢を夢のままで 終わらせないで

 君は君のままで 変わらないで

 </RAP>


 あと一歩先に広がる未来 勇気の魔法かけてあげるよ


 どんなに涙流れても 夢は離れないから

 忘れないで そんなときは 思い出してね マジカル☆ドリーマーズ


 忘れないで どんなときも 君の味方 マジカル☆ドリーマーズ

 


 この番組は「ウルフRAP教室」「通りすがりのお姉さん」「ガルシア精肉店」「魔界商店」の提供でお送りいたします。



【コマーシャル】

 溢れる肉汁! 柔らかな食感! あの砂漠に住むサンドドラゴンの肉がどうしてこんなに美味しいのかって?

 それは、店主自ら砂漠に行って捕まえて、その場で処理しているから。さらに魔法を使って瞬間冷凍することで、新鮮なお肉のままできるだけ早くお届けできるのです!

 ガルシア精肉店では通販も行なっております! 詳しくは電話またはホームページhttps://www.garcia-meat.comまで!(こんなホームページ存在しません!)



 ※ ちなみに、これらの提供は前作「勇者レベル0」の中に出てきたキャラクターたちと繋がりがございます。興味のあられる方はぜひそちらもご覧ください(宣伝)

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