15-B 夢を彩る魔法の祈り マジカル・イノセント
現在、李紗と真弥は崩れた校舎とともに絶賛落下中であるが、二人はペンダントの白い光に守られて周りよりもゆっくりとした速度で落ちている。
いや、その場に浮いているという表現の方が正しいかもしれない。そして真弥の左手に、ペンダントから生み出された白いコンパクトがそっと収まった。
二人はそれを見て、何も言わずにコクリとうなづく。
「マジカル・ドリームチェンジ!」
真弥がそう言葉を発すると、彼女の体が白く輝く光に覆われた。
<ここで真弥の変身シーンが流れる>
「夢を彩る魔法の祈り! マジカル・イノセント!」
<しっかりポーズを決めて名乗るイノセント。ポーズは読者の皆様が自由にご想像ください>
ミックスアイは依然として黒いオーラを体から吹き出しながら、その場で暴れ続けていた。自分の洗脳魔法が通用しなかったこと(その原因がアイマスクだということには全く気付いていない)と、真弥に鏡を使って魔法を跳ね返されたことが彼を苛立たせたのだ。
さらには自分自身にかけられた魔法を解くために黒いオーラを限界まで使った反動が、彼の暴走を招いたのだ。
怒りに身を任せて、直立不動の三人の高校生を始末しようとしたそのときだった。崩れた床の下から強烈な白い光が発生し、何事かとミックスアイは思わず動きを止めた。
「ミックスアイ! これ以上の乱暴は許しません!」
白い光とともに、李紗を抱き抱えた真弥が……いや、白い衣装を身に纏った第四の魔法少女が宙を舞って現れた。そしてゆっくりと蝶介達のもとへと近づくと李紗を下ろし、右手を軽く振りかざす。すると白い光のバリアが四人を包み込んだ。
「お姉様、戦いの間はここにいてくださいまし!」
そう言ってにこっと李紗に微笑むと、第四の魔法少女はキリッとした目つきでミックスアイの方を向き、
「さあ、ミックスアイ★ナイトメア、このマジカル・イノセントがお相手いたしますわ! お覚悟はよろしくて?」
びしっと人差し指を相手に向けて突き出すポーズをとって口上を述べた。
さあ、ここで改めて第四の魔法少女であるマジカル・イノセントの衣装を確認しておこう。
綺麗な金色の髪が腰あたりまで伸びていて、変身前の黒髪からがらりと変わってしまった。頭頂部にある真白いリボンがチャームポイントだ。
衣装は全身白を基調としたドレススタイル。スカートはエターナルと同様、フリルが何重にも折り重なった豪華仕様(作画が大変で困ってしまうやつ)で、もちろんその下には白のタイツをはいている。派手な戦いをしても一切肌が見えないような安全仕様である。
コンバットブーツまで白に統一してあるこだわりようで、まさにイノセント(英語で純粋・無垢の意味)を体現した魔法少女なのであった。
「まさか、私が魔法少女になるなんて……ね」
自分でも信じられない、といった表情でイノセントは自身が変身した姿を感慨深く見つめていた。
夢喰いの封印を解いてしまったこの私が、魔法少女になる資格なんてあるのだろうか……いや、だからこそ私が魔法少女として戦って夢食いを再度封印しなければいけないのだと、イノセントは拳をぐっと握って気合を入れた。
「私のォ、ワタシの魔法はァ! 最強なのダァ!」
ミックスアイは我を忘れ暴走を続けて、黒いオーラをそこらじゅうに投げつける。その一つが李紗たちの方へと向かっていくが、白い光のバリアがかき消した。
「自分の力を過信するあまり……心のバランスが崩れて闇のオーラに支配されてしまったのですね」
イノセントは哀れみの目でミックスアイを見る。その視線に気づいたのか、ミックスアイはイノセントを睨みつけて、黒いオーラを彼女に向けて放出した。
闇のオーラが体内で暴走しているミックスアイは、自身の最大の武器である洗脳魔法を使うことすら忘れ、ただただ暴れているのだった。
「それはもはや魔法ではありません。ただ闇の力を振りまいているだけ」
イノセントが軽く掌を前に出す。それだけでミックスアイが放った黒いオーラを全て浄化してかき消してしまった。そして、そのままの体制で少し力を溜め、彼女が反撃に出る。
「マジカル・シャイニングミラージュ!」
ミックスアイの目の前に四枚の魔法の鏡が、彼を囲むように現れた。その鏡が白く光輝き、前後左右からミックスアイを明るく照らす。聖なる光に照らされて、彼の体内にある黒いオーラが行き場をなくし、次々と浄化されていく。
「うおおおおおォォォ!」
ミックスアイの全身から黒いオーラがどんどん剥がされていく。抵抗しようと四枚の鏡を拳で叩き割ろうとするが、イノセントの魔法で作り出されたそれはびくともしない。
体内に溜まっていた悪いものが口からも吐き出されては浄化されていく。それと同時に険しかった顔がだんだんと穏やかな表情へと戻り、全ての黒いオーラを出し切ったあと澄んだ目でイノセントを見つめながら言った。
「マジカル・イノセントよ……ありがとう……これで私も再び夢食いを封印するために……一緒に戦える……」
そして彼もまた、他の四天王と同じように細かい光の粒となり消えていき、最後には白い宝石の首飾りが残された。
「
危なげなくミックスアイを仕留めたイノセントを見て、李紗が目を見開いてつぶやいた。
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