16-ED 次回予告
リーサは涙を流しながら階段を上る。
私だけが何もしていない。
蝶介たちが変身してドリームイーターと戦っているときも、私はいつも後ろから見ているだけだった。
人間界では魔法が使えないから、できるのは見守ることだけ。力を合わせて敵を倒したときも、みんなは喜んでいたけど私は心のどこかで素直に喜べずにいた。だって私自身は何もしていないから。
私だけが成長できていない。
蝶介も秀雄も悠花も、みんなはじめにあった時よりも心が成長しているように感じる。成長というか、自分を出せるようになってきているというか……。
マーヤは夢喰いの洗脳が解けてから一段と魔力も高まったようだった。私と違って冷静だし、落ち着いているし、なんだかどちらが姉かわからなくなるくらい。だけど私は、何も変わっていない。
私だけが変身できていない。
ようやく私も魔法少女になって、みんなと一緒に戦えるのかと思ったけど、現実はそう簡単なものじゃなかった。私の魔力ではどうやら魔法少女にはなれないみたい。
マーヤは……あの子は私よりも才能も魔力もあるから魔法少女になれたのだろう。私だけが……。
気がつけばリーサはマジカル王国のお城の外に出ていた。空は暗く、黒く厚い雲には稲光が走る。草木は枯れ、大地は生気を失っていた。ついこの間まで平和だったマジカル王国は見る影もない。
「はは……私は……何もできないや」
リーサはその場に膝をついて、首に下がったペンダントを両手で握り締めながら涙を流した。
「どうして……どうして私は変身できないのよ! 私だって……何かの役に立ちたいのに……」
「わかるよ、その気持ち」
はっとリーサが見上げると、目の前に一人の男性が立っていた。……蝶介じゃない。初めて見る顔だった。マジカル王国に仕える者にもこんな顔の男性はいなかった……はずだ。
「誰!?」
彼女の問いに、男は落ち着いた口調で話した。
「私は……君たちが夢喰いとよんでいる存在だ」
一見するとどこかの国の王子様と言ってもいいくらい整った顔立ちの男性だった。全身黒い色の服を着ていてすらっとしている。自分から夢喰いと名乗らなければ絶対に気づかれることはないだろう。
「あなたが……夢喰い……」
リーサはそう呟くと、キッと夢喰いを睨みつける。そして、ペンダントを握りしめたまま片膝を立てて起き上がろうとする。そんなリーサに対して、戦う意思がないことを示すように両手を広げながら、夢喰いが口を開いた。
「おっと勘違いしないでほしい。戦いにきたのではない。君を……救いに来たんだ」
☆★☆
次回「魔法少女マジカル☆ドリーマーズ」
第17話「負けるなリーサ、迫りくる夢喰いの魔の手!」
(今回はタイトルコールに誰も登場人物が出てこないパターンで、ちょっとした緊迫感みたいなものを表現してみました……伝わるかなぁ)
【魔法少女マジカル☆ドリーマーズ 新エンディングテーマ】
MAGICAL DREAMING FANTASY
歌:城ヶ崎悠花、夢野李紗、夢野真弥
バックダンサー:番所蝶介、海原秀雄
今も思い出す 夢のようなあの日々を
憧れていた 魔法少女になって 空を舞う 仲間とともに
魔法の国は 本当にあるのよ 目には見えないけれど
信じることをやめてしまえば 消えてしまうから
MAGICAL DREAMING FANTASY
いつかまた 必ず会えると信じているわ
いつかまた あの日のように みんなと笑いたい
MAGICAL DREAMING FANTASY
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます