20-ED さようならマジカル王国 魔法少女よ永遠に!
季節は秋。
チュンチュンと小鳥たちのさえずりが聞こえる。
空は晴れ渡り、今日も気持ちの良い朝を迎えようとしていた。
木々は若干色づいて、爽やかな風にその身を揺らし、心地よい音を立てる。いつもと変わらない平和な暮らしがそこにはあったが……景色だけを映し出しているので、この場面がマジカル王国なのか、人間界なのかはわからない。
「いってきます!」
自宅の玄関。制服姿の悠花が黒の革靴を履き、軽くかかとをトントンと鳴らしてから靴紐を結ぶ。扉を開けた瞬間に日の光が差し込んでくる。眩しそうにしながら外に出る彼女の表情はやはり美しい。
「あっ、おはよう!」
「アネゴ! おはようございます!」
「……おう」
家の前にはすでに秀雄と蝶介が待っていた。「ごめんね、待たせちゃった?」爽やかな秋風が吹き抜ける中、夢見丘高等学校へ三人は歩き始めた。
(ここでオープニングの歌が流れ始める)
(♪どんなにつらいときでも 夢は逃げださないから)
※ここから20-C「復活の代償」の場面の回想。蝶介、悠花、秀雄が語るという
蝶介「俺たちは当然マジカル王国の復活を望んだ。夢喰いがいなくなった以上、魔法少女に変身する理由も無くなったわけだし」
悠花「できれば、元に戻ったマジカル王国やリーサやマーヤの王女姿も見てみたかったってのもあるけど、魔法を使ったら私たちは人間界に戻れなくなっちゃうから……早々にお別れしたの」
秀雄「最後はみんなで涙を流しながらのお別れで……精霊たちもびっくりするぐらい泣いていたから……超天才のボクも思わず号泣しちゃったってわけさ」
蝶介「きっとリーサたちはマジカル王国を元に戻して楽しくやってるさ」
※ 回想終了
(♪あきらめないで そんなときは 助けに行くよ マジカル☆ドリーマーズ)
小鳥が、歩いている蝶介たちを横切り空高く飛んでいく。三人がその小鳥に視線を移し、空のアップに切り替わる。
(♪朝日が眩しい 今日も素敵な一日 始まる気がするよ)
空のアップから画面が下へ移動すると、そこは元に戻ったマジカル王国。緑が生い茂り、川は流れ、住民たちが穏やかに暮らしている。
お城も何事もなかったかのように完璧に復元されていた。その最上階には国王と王妃、そしてドレス姿のリーサとマーヤの姿があり、外の様子を眺めながら微笑んでいる。
(♪楽しい出来事が 私たちを待っている)
国王「リーサとマーヤよ。よくぞ夢喰いを倒し、マジカル王国の平和を取り戻してくれた」
王妃「あなたたちならきっと成し遂げられると信じていましたよ」
国王「しかし、封印せずに共存の道を選ぶ……というのもお前らしくていい選択だ」
二人の言葉を聞き、リーサとマーヤは顔を見合わせて微笑んだ。
(♪あと一歩先に広がる未来 勇気の魔法かけてあげるよ)
お城の地下ではクリスタルをはじめとする精霊たちが夢喰いのお世話をしている。寝かしつけようと魔法をかけるクリスタルの前で、子守唄を聞かせようとセンチュリーがエレキギターをかき鳴らし怒られている。
我関せずとマッスルが一人部屋の隅で筋トレを始めると「ふっふっていう声がうるさい!」とクリスタルに再び怒られる。
「ふっ、二人とも子育てに慣れていないな」とミックスアイが台座に腰掛けて一人優雅にコーヒーを飲んでいると「自分だけ何サボってんのよ!」とクリスタルに平手打ちをくらう。
精霊たちは精霊たちで楽しくやっているようだった。
(♪どんなに涙流れても 夢は離れないから)
場面は変わり、外でリーサとマーヤは魔法の修行中。マーヤが編み出した魔法を見て、リーサが拍手して褒めちぎる。まんざらでもなさそうな様子でマーヤは照れているが、試しにリーサが同じ魔法を試みると一瞬にして成功してしまった。「もう! お姉様は私が苦労して編み出した魔法をすぐに扱えるんですから!」とマーヤは頬を膨らます。「ごめんごめん! でもこの魔法を思いつくことがすごいのよ! さすが私の妹!」とリーサが妹の機嫌を取ろうと頭をナデナデする。「むー」と言いながらも、マーヤはどこか嬉しそうな様子だった。
(♪忘れないで そんなときは 思い出してね マジカル☆ドリーマーズ)
一羽の小鳥がリーサとマーヤの目の前を通り過ぎ、空高く舞い上がる。二人はその小鳥を目で追いかける。
どこまでも広がる青い空に、蝶介、悠花、秀雄の顔が浮かび上がった。
「元気かな、みんな」
「ええ、きっと元気ですわ、お姉様」
(♪忘れないで どんなときも 君の味方 マジカル☆ドリーマーズ)
場面は朝。登校中の三人に戻る。
「またいつか……会えるといいな」
「きっと会えるわよ。ね、海原くん」
「まかせてください、アニキ! アネゴ! 超天才のボクが、魔法界にいく方法を見つけてみせますから!」
三人は青い空を見上げて、にこりと微笑んだ。
魔法少女マジカル☆ドリーマーズ 完
【魔法少女マジカル☆ドリーマーズ 後期エンディングテーマ】
MAGICAL DREAMING FANTASY
歌:城ヶ崎悠花、夢野李紗、夢野真弥
バックダンサー:番所蝶介、海原秀雄
友情出演:?
※ 最終回だぜ、最終回だから変なことはしないだろうな……するなよ、何もするなよ(壮大なフリ)そして、歌詞が最終回と絶妙にリンクしていることをご堪能ください。
(あれ……マッチョが三人いるような気がする……ノーマルマッチョとメガネマッチョと……グリーンマッチョ?)
今も思い出す 夢のようなあの日々を
憧れていた 魔法少女になって 空を舞う 仲間とともに
(あれ……後ろで踊らずに筋トレしている気がする……これもある種のダンス?)
魔法の国は 本当にあるのよ 目には見えないけれど
信じることをやめてしまえば 消えてしまうから
(歌っている三人よりも前に……来ない! あれ、ずっと筋トレしている?)
MAGICAL DREAMING FANTASY
いつかまた 必ず会えると信じているわ
(最後だから歌う三人の女の子も……あれ? よく見たら一人白衣のお姉さんがコーラスで増えてる!)
いつかまた あの日のように みんなと笑いたい
MAGICAL DREAMING FANTASY
(画面が引いていくと……顔にペイントしたギタリストがいたのね! そして背中に巨大な電飾を背負った照明さんも! なんだよ、マッチョはずっと筋トレしてるだけじゃねーか! はぁはぁ言って、満足そうな表情を浮かべるんじゃない!)
はい、画面内の情報が多すぎて歌詞が頭に入ってこない!
これにて全20話完結でございます。みなさま、最後までご視聴ありがとうございました!
後日談としてエピローグがあって、おしまいです!(近日公開)
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