最終話 さようならマジカル王国 魔法少女よ永遠に!

20-OP 五人の想いが繋がって

 今回最終話につき、主題歌なし、コマーシャルなしのいきなり本編スタート、45分ノーカット拡大版でお届けいたします。


 ☆★☆


「グオオオオオォ!」

 もはや自我を持たない夢喰いだったものは、叫びながらマジカル王国を破壊していく。この物体が発射する黒い魔法の弾は次々に地面に穴を開け、岩山や城などあらゆるものを破壊していく。


「もうやめて!」


 マジカルプリンセスが叫ぶが、魔法は止まらない。彼女はその攻撃を防ぎながら、なんとか夢喰いに近づこうとする。早く、早くみんなを助けないと! と、気持ちばかりが焦る。


 防御しながら進むから遅いんだ、とプリンセスは夢喰いの攻撃を防ぐのを止めた。そして雨のように降ってくる魔法を避けながら、時には手で打ち払いながら、直線的に前へ前へと進んでいく。


「グオオオオオォ!」


 まだ夢喰いにも、生存本能は残っているようだった。自分にまっすぐに向かってくる魔法少女を脅威と感じたのか、これまで四方八方に飛ばしていた魔法をプリンセスに集中させた。


「!?」


 さすがにこれを予想していなかったプリンセスは魔法の直撃に遭った。

 ズドドドドド! と魔法が彼女と周囲の地面に一斉に降り注ぐ。


「きゃあああっ!」

 攻撃を全身に浴びて、プリンセスは地面に叩きつけられてしまった。「うそ……ここで負けてしまうの……?」グオオオオという夢食いの叫び声だけが聞こえて……やがて視界は真っ暗になった。



 ☆★☆



 どこまでも続く真っ白な世界に、リーサは一人立っていた。傷は一つもない。


「あれ……私は……」


 自分の服装を見て驚いてしまった。魔法少女の格好をしていたはずなのに、いつもの普段着に戻ってしまっていたのだ。――ここは一体どこなのだろう。そんなことを考えていると、彼女の目の前に四人の人影が浮かんできたのだ。


 可愛らしい女の子が二人と、マッチョ、マッチョ。


 すぐに、マーヤと悠花そして蝶介と秀雄だということがわかった。四人とも魔法少女の姿ではなく、夢見丘高等学校の制服を着て立っていた。四人はリーサを見ると、にこりと笑い語りかけた。



「リーサ、あとは任せたぞ」と蝶介。



「お願い、必ず夢喰いを倒してね。最後は必ず魔法少女が勝つんだから!」悠花

はいつもと変わらない。


「姫、僕たちの力を使ってください!」秀雄は眼鏡をくいっと持ち上げながら言う。



「お姉様、マジカル王国は頼みましたよ」マーヤは少し涙目だった。



 だんだんと四人の姿が薄くなる。「ま、待ってよ!」というリーサの声もむなしく、目の前にいた仲間の姿は消えてしまった。



 ☆★☆



「う……ぅ」


 再びリーサが目を開けると、そこは荒廃したマジカル王国だった。そして自分が地面にうつ伏せに倒れていることもわかった。

 ――ああ、そうかさっき夢喰いの魔法をまともに浴びてしまったんだった。リーサはすぐに自分の置かれている状況を理解した。


 相変わらず夢喰いが変な叫び声を上げて、黒い魔法を放ち続けている。その体から生えている角には今もなお、マジカル☆ドリーマーズの四人が突き刺さったままである。


「さっきのは……夢?」


 起き上がろうとしたが、体に力が入らない。しかも、魔法少女の変身が解けていて人間界で生活しているときの服装だった。


「くっ、このままじゃ世界が……」


 そう言ったときだった。突然リーサの腰に下がっているピンク色のコンパクトが輝き出した。それと同時に夢喰いの角に体を貫かれたままの魔法少女四人の、緑、黄、青、白のコンパクトが出現し、同じく光り輝いた。


 あまりにも強い輝きを放つ五つの光に、「ギエエエエ!」と、夢喰いは先ほどとは違う種類の叫び声を上げて苦しみ出した。王国を破壊し続けていた黒い魔法が止まる。


「ああ……みんな……」


 先ほど見た夢は夢ではなかったのだ……四人は自分の力を私に託してくれるのだ。リーサの瞳から一筋の涙がこぼれ落ちる。


 四人のコンパクトは光り輝いたまま、リーサの元へと飛んできた。そして、五つのコンパクトが混じり合い、虹色に光り輝くコンパクトが出現したのだった。


 最後の力を振り絞り、ふらふらとしながらもリーサは立ち上がる。虹色のコンパクトをしっかりと右手で握りしめると力強く叫んだ。


「マジカル・ドリームチェンジ!」


(ここでリーサ一人の最後の変身バンク。これまでの変身よりもキラキラ度多めで、たっぷりと時間をかけて変身する。途中、バタフライ、エターナル、オーシャン、イノセントの変身シーンを一部彷彿とさせる演出も入る。彼女らの力も加えて、一緒に戦うというメッセージが込められているのだ。そしてお約束。サブリミナル効果的に数フレームだけ、元四天王の精霊たちのドアップも組み込まれている。……普通に見ている分には気づかれないレベルでクレームは来ないはず



 今までのマジカル・プリンセスの衣装にたくさんの装飾が施され、背中には天使の翼も生えていた。頭には宝石が埋め込まれた黄金のティアラも装備されていて、まさに最終形態中の最終形態戸愚呂100%みたいな感じであった。



 目を閉じたまま変身を終えたリーサは、今まさに目を大きく開けた。


「夢を叶える魔法の虹! マジカル・プリンセス・ロイヤルスタイル!」

 彼女の目は真っ直ぐに夢食いを見据えていた。いや、夢喰いの体に残されている四人の仲間を……見つめていた。

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