第3話 新たなる仲間 マジカル・エターナル
03-OP 城ヶ崎悠花の華麗なる日々
「それでは、ごきげんよう」
今日の授業が終わり、悠花はバッグを持つとみんなににこっと挨拶をして教室を出て行った。
「はぁ、悠花様……今日も素敵だったわ」
「部活にも入らず、今日も塾でお勉強らしいわよ」
「さすが悠花様。優等生を地で行くお方ね」
教室に残っていた女子生徒たちが憧れの眼差しで悠花を見送っていた。蝶介と李紗も今から帰るところだった。
李紗がこの学校へやってきてから数日。敵であるマーヤは未だ姿を見せないでいた。ドリームイーターを作る機会を狙っているのか、力を蓄えているのかはわからないが……。
この間、蝶介はひたすら筋トレに励み、李紗は学校内を散歩しながら(本人の気づかぬうちにファンを増やしながらも)マジカル☆ドリーマーズに適した人材を探していた。
☆★☆
「ただいま」
塾での勉強を終え、住宅街にあるごく一般的な一軒家に城ヶ崎悠花が帰宅した。キッチンで料理をしている母が「おかえり!」と声だけで迎えてくれた。
丁寧に靴を脱ぎ、かかとをしっかり揃えるところに彼女の育ちの良さが窺える。そして手際よく荷物を片付けると、二階にある自分の部屋に戻り着替えを済ませる。
そして……
「あぁ〜今日も疲れたぁ〜! 変身解除ぉ〜なんちゃってぇ〜!」
と言ってベッドにぼふん! と飛び込んだ。
悠花がそのまま天井を見ると、魔法少女マジマジ・マージのポスター、主人公のマージちゃんと目が合った。
「マージちゃ〜ん! 今日も私、がんばったよぉ!」とベッドに置いてあったマージちゃんの抱き枕をぎゅっと抱きしめた。
悠花の部屋を見渡してみると、机の上には最新作アニメ、魔女っ子・マジ子ちゃんのフィギュアがポーズをとって並んでいた。
机の横にあるアクリルでできた三段棚にも魔法少女やアニメのキャラクターと思わしきフィギュアやらキーホルダーやらおもちゃのステッキやら……食玩の小さな人形やぬいぐるみまで、所狭しと並べられていた。
天井だけでなく、部屋全体に歴代の魔法少女アニメのポスターが貼ってあり、幼稚園時代に両親から買ってもらったマジマジ・マージちゃんのコスチュームも専用の額縁に入れて飾ってあった。
「私の名前はじょうがさきゆ〜か! 実は魔法少女として悪い敵をやっつけているの! なんてね、ふふっ!」
そう、城ヶ崎悠花は学校では時期生徒会長と呼ばれるほどの優等生なのだが、実は魔法少女に憧れるアニメ大好き少女だったのだ。
将来の夢は魔法少女になること。
これは幼稚園の頃から変わっていない。しかし、誰に言えるわけでもなく、優等生という仮面を被り、これまでも一人で悶々と過ごしてきたのだった。
「くらえ! マジカル・ファンタスティック・エターナルゥ〜」
悠花はベッドに寝そべって、右手におもちゃのステッキを持ちながら魔法を出すふりをしてみる。当然魔法など出るわけもなく、ただ扇風機が羽を回す音だけが部屋の中に響いていた。
「はぁ〜魔法少女になりたいなぁ。進路希望調査、第一志望校はマジカル魔法大学ですって言いたいなぁ……そうだ! 文化祭は魔法少女カフェを作ればいいんだわ! 番所君には敵の幹部役をしてもらって……夢野さんは可愛いから私と同じ魔法少女になって……それからそれから……」
なんて考えていると、階下から「お父さん帰ってきたわよ! ご飯の準備手伝って!」という母の声がした。
「はーい、今行きます!」
城ヶ崎悠花は顔を二、三回ぶるんと振ると、先ほどまでのアニメ顔「ゆ〜か」から一転、いつもの凛とした「悠花」へと気合を入れ直し、一階へと降りて行った。
部屋に残された魔女っ子・マジ子ちゃんのフィギュアが一瞬きらりと輝いた。
【魔法少女マジカル☆ドリーマーズ 主題歌】
夢を守って! マジカル☆ドリーマーズ
歌:
どんなにつらいときでも 夢は絶対逃げないから
あきらめないで そんなときは 助けに行くよ マジカル☆ドリーマーズ
サンサン 朝日が眩しい 今日も素敵な一日が始まる気がするよ
FUNFUN 楽しいことが 私たちを待っている
<RAP>
いつの間にか忘れかけていた 空見上げれば虹かかっていた
夢は叶えるためにあるんだよ 雨は必ずいつかやむんだよ
夢を夢のままで 終わらせないで
君は君のままで 変わらないで
</RAP>
あと一歩先に広がる未来 勇気という魔法かけてあげるよ
どんなに涙流れても 夢は絶対離れないから
忘れないで そんなときは 思い出してね マジカル☆ドリーマーズ
それでは、第3話スタートです!
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