17-A リーサを取り戻せ! 夢喰い対マジカル☆ドリーマーズ
空は黒い雲に覆われて、雷の音が激しい。大粒の雨が地面に打ちつける。
「お姉様! だめです、夢喰いに飲み込まれては! お姉様!」
マーヤは精一杯の声を出して黒い物体に呼びかけるが、雷と雨の音にかき消される。そして当然返事はない。
「おい、リーサは一体どうなっちまったんだ?」
強い雨が降りしきる中、蝶介が十数メートル先でうごめいている黒いどろどろの物体を見て言った。
「何か……とんでもなく嫌な予感がするわ」と悠花は既に黄色のコンパクトを握りしめて、いつでも変身できるように構えていた。
「アニキ……あそこにいるのはマーヤ殿の言う通り、夢喰いに間違いないっす。コンパクトを通してクリスタルたちがそう言ってます」
秀雄も悠花と同様に青色のコンパクトを手にしていた。それを見て、蝶介も同じように自分の緑色のコンパクトに手を伸ばす。
「あいつが……夢喰いだと……」
しばらくすると、その黒いものはゆっくりと空中に浮かび上がり、巨大な魔物のような姿に形を変えた。
「なんじゃそりゃ!」と蝶介と秀雄が声を出すのも無理はなかった。
角を二本生やした悪魔ようなの頭に、背中から生える禍々しい羽。指先から生えた爪は長く、一本一本が剣のように鋭く尖っていた。そして、体の中心あたりには目を閉じたリーサの顔が浮かびあがった。
彼女は夢喰いと融合してしまっているようで、顔以外の部分は全て体内に飲み込まれてしまっていた。
「お姉様! 目を、目を開けてくださいまし!」
マーヤが涙を流しながら叫ぶが、やはりリーサは何も反応することはなかった。代わりに、悪魔の顔が口を開く。
「マジカル☆ドリーマーズよ! 私が夢喰いである。この娘の力を取り込んだ以上、お前らに勝ち目はないぞ。この世界と同様に、ここで朽ち果てるが良い!」
グワアアア! と夢喰いが声を上げて蝶介たちを威嚇する。うん、と蝶介たち三人は目で合図をし、コンパクトを握りしめた手を空高く突き上げた。
「マジカル・ドリームチェンジ!」
(ここで三人の変身シーンが流れる。さらに変身完了後にマッスル・センチュリー・クリスタルの精霊の顔のアップが映り込み、
「夢を運ぶ魔法の風! マジカル・バタフライ!」
「夢を照らす魔法の光! マジカル・エターナル!」
「夢を包む魔法の海! マジカル・オーシャン!」
三人は変身して名乗りを上げるが、そこに一人足りないことに気づく。そう、マジカル・イノセントであるマーヤが一人、変身せずに雨に打たれてその場に立ち尽くしているのだ。
「マーヤ?」
マジカル・エターナルが心配そうにマーヤに話しかける。彼女は涙を流しながら下を向いて唇を噛み締め、両手の拳をぐっと握りしめていた。
「……できません、お姉様を攻撃するなど……私はもう二度と……したくないのです」
マーヤは夢喰いに洗脳されて、ドリームイーターを使いマーヤや蝶介と戦っていたときのことを思い出していた。
まさかあの頃と立場が逆転してしまうなんて……。今更になって当時の姉の気持ちが痛いほどわかってしまったのだった。
「わかってはいるんです……夢喰いを倒さなければいけないって……でもそうするとお姉様まで失ってしまう……」
「それはちがう
マジカル・バタフライの言葉に、マーヤはハッと顔を上げる。そこには雨に打たれながらも、笑顔で自分を見つめるマジカル☆ドリーマーズの三人の姿があった。
「私たちはリーサも一緒に倒そうだなんて思っていないわ。夢喰いを倒してリーサを取り戻すのよ!」
マジカル・エターナルがマーヤの両手を取って話しかける。続いてマジカル・オーシャンも二人の手の上に自分の掌を重ねた。
「ボクの分析だと、夢喰いを倒せば無事に
そして、恥ずかしそうにしながらも、マジカル・バタフライも両手を重ねた。みんながお姉様のことを想ってくれている……その気持ちが嬉しくて、マーヤは涙を流しながらも力強くうなづいた。
「……はい! みなさん……ありがとうございます。お姉様を助けるために、私も全力で戦いますわ!」
マーヤは白いコンパクトを握りしめて、声高らかに叫んだ。
「マジカル・ドリームチェンジ!」
(ここでマーヤ一人の変身シーン。巻き(放送時間の関係上急がないといけない)なので通常よりもちょっと短めバージョン。最後にミックスアイの顔のアップがドン! と映し出されて、彼女もまた力を取り込んだ「通常形態のままだけど実は
「夢を彩る魔法の祈り! マジカル・イノセント!」
横一線に並んだマジカル☆ドリーマーズと、宙に浮いて魔法少女たちを見下ろす夢喰いの構図が出来上がった。そんな中、マジカル・バタフライが一歩前へ出て夢喰いに向かって指を差して言った。
「
こうして四人揃ったマジカル☆ドリーマーズは巨大な悪魔と化した夢喰いに向かって戦いを挑む。
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