第10話 10

上条ーーーーーーー! おまえでも教師だろ!? 自分の担任のクラスのカワイイ生徒がいじめられているんだぞ!? 暴力をふるわれようとしてるんだぞ!? カツアゲのおまけ付きだぞ!? 悩み事の無さそうなおまえの登場は私の予想外だが、ひょんな教師のおまえでも絶対に生徒を助けるよな!? よな!? よな!?


「おまえたち、俺の秘書に何かしたのか?」


そうだ! 忘れてた! 私はおまえのカワイイ秘書だった! その性で入学式の片付けをやらされ、こんなろくでもない連中に目をつけられたんだ。上条、おまえには私を助ける義務がある! 変な名前を付けたんだ! もし私が結婚できなかったら責任も取ってもらうからな!


「先生、私たち何もしてませんよ!?」

「そうです!? そうですよ!?」

「私たち友達なんです!? ねえ?」


友達になった覚えはない! 敢えて言おう。誰がおまえたちみたいな社会のクズと友達なんかになるか! いじめ、暴力、恐喝はれっきとした犯罪だ。いじめっ子が教師に言う苦しい言い訳じゃないか!? さあ、上条。私を助けさせてやろう。そしてこの連中に教師として正義の鉄拳をお見舞いするのだ!


「良かったな。薄皮、友達ができて。」


ギャアアアアアアア!? 良くなーーーーーーーい! 上条ーーーーーーー!? 何を笑っているんだ!? 貴様、それでも教師か!? 教師なら自分の保身よりも命をかけて生徒を守れよ!? いじめを見て見て見ぬふりするな!? どうしておまえみたいな教師ばっかりなんだ!? 知りたものだよ。どうやっておまえみたいなひょんな奴が教員採用試験を合格できたのか。コネか? 金か? いったい何をした!?


「悪いが薄皮、これから職員室の掃除も頼む。」


ラッキー! これでこいつらとおさらばだ。わ~い! ざまあみろ! アッカンベーだ! 神は私を見捨てなかった。日々、神に悩み続けている私を、神はお救いになったのだ。アーメン! ちなみに私はキリシタンではない。神など、悩みニストの私にはネタでしかないのだよ。私の前では神など悩み事の一つに過ぎないのだ。ワッハッハー!


「薄皮、あんまり変な生徒と関わるなよ。」


んん? これはどういう意味だ? 少し悩んでみよう。ひょん教はあいつらを変な生徒と言った。ということは・・・私がいじめっ子たちに絡まれているのを知っていた。しかも関わるなと念まで押している・・・。おい、それなら堂々と助けんかい!!! さすがのカワイイ私もキレるぞ!?


「すまんな。俺も契約社員の臨時教師なんだ。問題を起こすと教師をクビになる。やってやれることはこんなことしかないんだ。」


こいつ、私を助けてくれたのか? それに教師不足とはよく聞くが、契約社員の臨時教師なのか、ひょん教も大変な人生を歩んでいるんだな・・・。いや、保身だ! 公務員教師で楽に人生を生きていきたいという保身だ! ふう~、危ない危ない。もう少しで騙されるところだった。自分の心配よりひょん教の心配をする私はなんて優しいいい子なんだ。


つづく。

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