第60話 60
あなた、バカね。
あんたよりましよ。・・・いやいや、私はバカだ。ここまでストーリーが進んだ、今の構想、今の悩み事で第1話から書いていれば素晴らしい作品になっただろう。
ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。
ではどうする? 手直しして一から始めるか? 私に時間を戻すスキルはない!?どうすればいいというのだ!? 教えてくれ! どうしても構想を練るという悩み事になっている。まあ、私は悩むのが好きなのだが・・・もったいないと自画自賛。
「サンダーウイルス!」
ウイコの必殺の一撃が放たれた。しかし私は落ち着いている。落ち着いているどころか薄っすらと笑みを浮かべている。私自身も不気味なぐらいに現状を楽しんでいるのを感じていた。
「生きとし生ける者の悩みの頂点に立つ、悩み事の女神、薄皮ヨモギが命令する! いでよ! 悩める人の像!」
私の言葉と共に何もない空間から考える人の像のような、悩める人の像が現れた。ちなみに私が悩める人の像を呼び出したが、この像事態には何のスキルもない。ただの飾りである。そう、ただの飾り。
「悩める人の像!? ・・・何も起こらないじゃないか? 驚かせるだけが狙いなのか?」
「あなた、知らないの? あ、そうか。突然変異で生まれたばかりのあなたは知識が不足しているのね?」
「なんだと!?」
「悩める人の像は何の上で悩んでいると思う?」
「んん・・・、イスの上?」
「ブブー! 不正解! 正解は・・・地獄の門の上よ!」
私の言葉と共に悩める人の像の下に大きな門が現れる。その門は異様な形を成し、門の飾りで悪魔たちが至る所に着いている。悪魔たち石化して石像の者もいれば動いている者もいる。門を見つめる私の高揚感とウイコの絶望感が私はヒシヒシ
「地獄の門!?」
「そうよ! 地獄の門よ!」
「・・・地獄の門って何?」
「ズコー!?」
「私、生まれたばかりで分かりません。」
「あのね・・・地獄の門というのはね。」
「ほうほう。」
「地獄の門というのは・・・地獄の門よ!」
「ズコー!?」
「簡単にいうと、思春期の答えの無い悩み事を悩み続けるのは地獄ということよ! ええ~い! 説明するのが面倒臭い! 開け! 地獄の門! そして全てを呑み込んでしまえ!」
ギギギギギーっと大きな音を立てながら錆びてはいないのだがしばらくの間、地獄の門は開閉をしていなかった門が開くような音がする。完全に油が切れている音だわ。今度から私が管理するなら、私のものになるなら手入れしなくっちゃ。
「ああ!? 私のサンダーウイルスが!?」
開いた地獄の門はウイコのサンダーウイルスをあっさりと呑み込んだ。開いた門の中は血の池や針山などの怖い地獄の魑魅魍魎の世界が広がっていた。餓鬼や閻魔大王様の姿も見えるようであった。ああ~恐ろしい~!
「どう? 悩み続ける地獄の日々は?」
「ウウッ!?」
「さあ、次はあなたの番よ! 私の最大の悩み事で地獄に送ってあげるわ! 混沌(カオス)!」
悩み事。そう、答えの無い悩み事など、混沌(カオス)でしかない。
つづく。
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