第59話 59

あなた、ヒーローが3分しか活躍できないのはなぜか知ってる?


私は知っている。例えると30分番組で20分間見ても見なくてもいいようなつまらないことをやって、最後の10分でヒーローが登場して爽快に活躍して、おもちゃを売るという毎回毎話同じというお約束の展開だから。


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。


ついに・・・私は脱ぐ。勘違いするなよ。脱ぐといってもベールを脱ぐのであって、服どころか靴下も脱がないぞ。よく考えれば、私の真の実力をここまで伸ばし伸ばしできたものだな? 普通は最初にぶちかますものだと思うのだが・・・。まあ、いい。私のゲームの始まりだ。


「いいだろう。見せてやろう。私の実力を。」

「大きくでたな。薄皮さん。このサイバー世界は私の世界。この世界の中では、どんなウイルスもハッカーも私の思い通りになる。それはサイバーセキュリティのウイルス対策ソフトを使ったとて同じ。私の生まれたこの世界では薄皮さん、あなたは何もできない。」

「それはどうかしら? 何もできないのなら、何でもできるに変えてしまえばいいのよ。」

「なんだと!?」

「もしも世界が終わるのなら、世界が終わらないようにかき混ぜればいい。もしもこのネットの世界が終わるのなら、私の悩み事の世界を新しく作ればいいだけのことでしょ。」

「世界を新しく作るだと!? バカな!? そんなことができるというのか!? 出来る訳がない!?」

「できるわ。だって、私は薄皮ヨモギだから。小さなことから大きな事まで、悩みに悩み続け答えの無い世界を走りもがき発狂し続けた。好きな言葉は暗中模索。そして私の想いの宿った言葉は・・・悩み事。悩み苦しんできた私が手に入れた力は混乱。人は私のことをこう言うわ。混沌の女神と。」

「こ、混沌のメガネ!?」

「女神だっの!?」


ない。本当は言われたことは無い。だって、今回が初めてなんだもの。でも、これぐらい膨らました方が物語が面白くなるはずよね。論争は戦いながらできる。それは今までにも他の作品で心とかであるはず。私、薄皮ヨモギが目指すのは言葉一つの重たさ。言葉一つの可能性。言葉一つの奇跡を描きたい。きっと私ならできるはずよ。それにしても59話で悩める私は内気な近眼メガネキャラ設定は遅すぎるんだと思うんだけど? いいのかしら?


「戯言はまやかしに違いない。私のサンダーウイルスを食らっても、そんな和菓子みたいなことを言ってられるかしら? 他の参加者みたいに真っ黒こげにしてあげる。」

「やれるものならやってみなさい。サイバーセキュリティと電撃をミックスしたような曖昧な雑種の攻撃が、混沌の女神である私には、あなたの攻撃なんて効かないから。」

「ぬかせ! サンダーウイルス!」

「あなたのしゃべる言葉と、私の一言一言の言葉の重みが違うって言っているんだよ!!!」


私、薄皮ヨモギと電撃ウイ子の戦いは製作委員会らしく激しい口論の末、決着を迎えようとしていた。


つづく。

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