第77話 77

あなた、未来予想図って持ってる?


私は持っている。この製作委員会の東京都大会を優勝すること。そして全国大会にも出場して優勝すること。もちろん大会MVPは、わ、た、し。


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。

NJK(何か取り柄のある女子高生。)

「解決(ソルーション)!!!」


え? ひょん教の正規公務員に昇進? そんなことはどうでもいい。え? 私とひょん教の恋話? ないない。だって、ひょん教はハゲでデブで中年のおっさんだから(仮)。



「ギャアアア!?」


消え去るがいい! 破壊神よ! 私の長年の心の歪みが響き寄せる地獄の門。私の悩み、悩み、悩み抜いた苦悩が走馬灯のように甦ってきそうだ・・・はあ・・・はあ。あなたの破壊衝動なんて、私の悩み事の前では敵にはならなかったみたいね。ランコは地獄の門に吸い込まれ消えていった。


「ランコ!?」

「世田谷区 退場!」

「じ、地獄の門!? なんて恐ろしい能力なんだ!? 薄皮さんはなんというものを扱うんだ!?」

「はい。一人消えた。次はどちらかしら? それとも二人同時がいいかしら? ヨモヨモしてあげる。」


一人だと攻撃もされないから争いが起こらない。ストレスなく平和な日々が過ごせる。でも・・・少し寂しいかな。心の中で仮想の友達、妖精さんと小人さんとかくれんぼうするのも飽きたし、現実世界での友達も・・・悪くないと思った。一緒に悩んだり、応援してくれるから。


「あなた! スキルを隠し持ってるんでしょ! 何とかしてよ!」

「なによ!? あなたこそ、私の拡張は最強とか言っていたんでしょう! 戦いなさいよ!」


友達は大切だ。本当の友達でないと、相手の性にしたり、自分だけ楽したい、自分だけ助かりたいとか思っちゃうのが人間よね。ついさっきまで3人チームだったのに、一人消えただけで、もうケンカしている。これが人間よね。この二人を見ていると、私が人間であることが嫌になる。あ、そっか。だから私は悩み事の世界を選んだのか。


「もういい。」

「え?」

「え?」

「二人仲良く、地獄に行きなさい。開け! 地獄の門よ! この友達を助けようともせず、自分のことばかり考えている愚か者どもに閻魔様の罰を与え給え!」


閻魔様って、本当に要るの? 私は知らない。でも、こうでも言わないと盛り上がらないのよ。血の池地獄の血は輸血できるの? 針の山の針で裁縫は縫えるの? 餓鬼や地獄の亡者は何して遊んでいるの? 少し方向性がズレて悩みだすと、いろいろな細かいことが気になるのよね。私にも困ったものだわ。


「ギャアアア!?」

「中野区 退場!」


この退場を宣告するアナウンサー? 若しくはレフリー? 普通に考えてアニメでも漫画でもドラマでも、かなりの人気者になる可能性を秘めているわ。オーバーリアクションで、しかも女性でセクシー担当でいいだろう。ああ~悩んでいるだけで

優勝してしまうなんて、私も罪ね。悩むことさえ罪だわ。イチコは地獄の門に吸い込まれて消えていった。


「無効。」


ほえ? ほえー!? 地獄の門が消えちゃった!? どういうこと!? 最後の戦いの相手が杉並区と予想できた人も少ないだろうけど、最後の敵のスキルは、時間を操る時空魔法使いって相場が決まっているのに、まさかの無効使い!? そんなの聞いてないよも!? 


「全て、私の計画通りだわ。」


見つけた。本当の敵だ。こいつ、ずる賢いぞ。他人を利用して戦わせて、自分が勝てばいいと思っているクソ野郎だ。ニタニタ笑っている顔を見ているとムカついてくる。


つづく。

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