第72話 72

あなた、信じてる?


私も信じようと思う。信頼を得るのは難しいけど、信頼を失うのは一瞬である。だから私と友達になってくれた皆の信頼に答えたい。友達を失いたくないという私の気持ちに気づいたから。


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。

NJK(何か取り柄のある女子高生。)

「解決(ソルーション)!!!」


どんなに相手が強くても、どんな壁にぶつかっても、私は何度でも何度でも起き上がって、勝つまで諦めないんだ。負けてやめたら失敗だけど、勝つまで続ければ成功になるから。私は戦うことを決して辞めない!



「ギャアアア!?」

「台東区 退場!」

「荒川区 退場!」

「中央区 退場!」


私が友達ができて感動していた間も製作委員会東京都大会は進行していた。まだ何区の代表とも分からない未知の女子高生、傲慢さんの猛攻は続いていた。時間の経過と共に退場者は増え、残っている参加者は15名前後になっていた。


「誰もかかってこないの? 来ないと死ぬのを待つだけになるよ? ・・・ああ、つまらないね。生きるのを選ぶのか、生きながら死ぬのか、さっさと諦めて降伏しろって言ってるんだよ!!!」


見える。見えるぞ。さっきまでは、あの強烈な威圧に絶望して諦めてしまっていたけど、みんなの応援を受けた今の私の心は折れない。だって私にはたくさんの友達がいてくれるから。一人で悩んで答えが出せなくても、みんなで悩みを打ち分け合って助け合えば、どんな悩み事でも、解けない悩み事はない。


「ん? おまえ・・・どこかで見た顔だな。ああ~会場の入り口でちんどん屋を引き連れていたパンダか。」


パンダ? 私はいつからパンダになったんだ? ・・・そんなことは置いといてと。気づかれた!? 傲慢さんに私の存在を認識されてしまった!? こうなったら私の想いの宿った言葉を唱えて覚醒して、直接対決で傲慢さんに勝つしかない・・・か!?


「あ!? こら!? 逃げるな!? パンダ!?」


今はまだ覚醒する時じゃない。長年、悩み事をしてきた私の本能が言っている。なんだ? この嫌な予感は? 胸騒ぎがする・・・。傲慢さんはまだ本気を出していないってことなの? それとまだ他に私を悩ませる不安要素があるというの?


「ギャアアア!?」

「北区 退場!」

「文京区 退場!」

「千代田区 退場!」


ごめんなさい! 私の巻き添えで傲慢さんの光る剣の遠隔攻撃でやられた人たち。きっと審判が日本人的に退場って連呼して気持ちよくなりたいだけだから。審判さんの人気が出るわ。そう、私は悪くない。私は悪くないと開き直るべし!


「いじめてあげるから待てって言ってんだろうが!!!」


あほ! 誰がいじめられるって分かってて立ち止まって待つかっていうんだよ。殴られたら痛いだろうが! それが分かっていて諦めていじめられる奴なんか悩んで電信柱にでも頭をぶつけて入院すれば、その場から逃げれるぞってね。


「・・・。」


その他大勢の犠牲と引き換えに、悩みながら逃げていた私は傲慢さんの可能そうで不可能な遠隔操作のカラクリを悩み抜き、勝利という少しの希望の光を見つけた。


つづく。

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