第28話 28

あなた、生死の境を彷徨ったことがある?


私はある。しかも高校に入って2日連続で・・・。その理由が、現実逃避と学校崩壊。しかも崩壊した学校が次の日には完全復元しているんだからほんと嫌になっちゃう。


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。


まだ今日は魔法の言葉を使っていない。私は高校4日目の朝を病院のベッドで迎えた。もうお昼か・・・痛い・・・全身が痛い。私の体は学校崩壊のダメージを受け至る所が擦り傷や打ち身で痛かった。けが人は多数出たらしいが、死亡者はゼロだった。誰も殺さないなんてハーフさん優しい! カッコイイだけでなく優しさまで持っているなんて反則よ!


「薄皮? 何を悶えている?」


ギョ!? ひょん教!? レディーの部屋にノックもせずに入ってくるとは許せん! 私のハーフさんに対するときめきを返せ! いつか悩んで、悩んで、悩んで悩み抜いて抹殺する口実を作ってこの世から消し去ってくれる!


「何を考えている? さっさと着替えろ。今日は練習試合があるだろう。俺の正規公務員計画を達成するために、薄皮、おまえには戦ってもらうぞ。」


最低ーーーーーーー!? 私の見舞いに来た訳でもなく、自分の出世のために女を利用しようだなんて最低! さすが私利私欲の教師! 悪の宗教ひょん教ね! 着替えてほしかったら、私の病室から出て行け! いつまでいるのよ! このエロ教師! 私は枕を投げ飛ばして悪の教祖を部屋から追い出して着替えた。


「渋谷塚高校までお願いします。」


おお!? ケチなひょん教のクセにタクシーを使うとはチョイ乗りだけど少しだけ見直した。そういえば自分の通う学校の名前も知らなかったような・・・ここが渋谷塚大学病院と。確か歯科が世界的に有名な渋谷区民の誇れる病院らしい。まあ私は心療内科だから関係ないけど。


「こ、これは!?」


ゲッ!? 何じゃこりゃ!? どうしてみんな眠っているの!? 校門や階段などの至る所で生徒が寝ている!? 私とひょん教が学校の前でタクシーを降りると目を疑う光景が広がっていた。学校中の生徒が眠りについていたのだった。


「は、始まっているんだ!? 練習試合が!?」


はあ? ひょん教は何を言っているの? 製作委員会は論じ合い議論するだけの大会でしょ? それと学校中の人間が眠りについていることとどういう関係があるのよ? もしも関係があったらおかしいでしょう。


「薄皮。おまえ自分は関係ないとか思っているかもしれないが、もし対戦相手の言葉に人々を眠らせる想いが詰まっていたらどうする?」


ご、ご、ご、ご、ご冗談。言葉が人を眠らせる? そんなことがある訳ないでしょ。なんだか製作委員会がおかしな方向に向かっているわね。私の悩み事が関係なくなって、さらに変なのが出てくる前にお家に帰ろ~っと。


「見いつけた。あなたが製作委員会の委員長ね?」


また変なのが出てきた・・・。私の周りには変なのしかいないのか? ああ・・・私はなんて不幸な星の元に生まれたんだ・・・。


つづく。

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