第52話 52
あなた、青春したことある?
私はない。だって私は内気なカワイイ女の子だから。おっと、物は投げつけないでね。これでも口から声を出すだけで勇気がいる十代なんだから。みんなスマホで他人の悪口ばかり言ってる・・・寂しい青春よね。今の女子高生が可愛そう。
ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。
もし私に何か願い事を叶える力があったら・・・それが製作委員会の存在意義なの。(ウソ。)アイドルのコンサートのチケットを手に入れる。お腹一杯ケーキを食べる。十代の夢なんて、そんなものよね。私は違うけど・・・。
「か、か、彼女たちは!? 広尾高校、恵比寿高校、宇田川高校、代々木高校、神宮前高校の渋谷区5人衆!?」
渋谷区5人衆!? ・・・ダサッ。・・・イモね。だから行き当たりばったりでストーリーを展開するとか、新キャラをどんどん登場させるとかやめなさいって。どこかで矛盾が生じて取り返しのつかないことになるわよ。
「広尾高校、長命寺さく。」
「恵比寿高校、麻布たい。」
「宇田川高校、鈍器はち。」
「代々木高校、高砂きん。」
「神宮前高校、原宿くれ。」
「私たち渋谷5人衆!」
「きゃあ~! 決まった!」
「青春してるって感じ!」
「わ~い!」
な、なんなんだ!? とても私と同い年とは思えない幼さ・・・。こいつらは本当に女子高生なのか!? 一度、小学生からやり直した方がいいんじゃないだろうか? 完全な平和ボケだな。ああ・・・日本の将来が心配だ。
「ま、負けている!? 私たちが押されているだと!?」
「このままでは悪役で登場させられた私たちはヒールで、向こうはアイドル扱い!? そんなこと認められるか!?」
「恐れることはないわ。見せてあげればいいのよ。数の違いが戦力の決定的な差ではないことを。」
もう負けてるって。アンコ、ツブコ、ズンコに、サクコ、タイコ、ハチコ、キンコ、クレコと。大丈夫、まだ覚えられるわ。ちなみに私はこいつらを相性で呼ぶので高校名、キャラクター名は気にしないからあしからず。もしもカードゲームとかになった時のために適当に付けているだけだからね。
「静まれ! 静まれ! そこの新参者共!」
「なに? あの人たちは?」
「知らない。」
「ここにおられる方をどなたと心得る! 製作委員会渋谷区大会の優勝候補筆頭者、渋谷塚高校の薄皮さんであるぞ! 図が高い! 控えおろう!」
・・・え? え!? なに!? 私、巻き込まれている!? どうして私を囲むようにアンコ、ツブコ、ズンコが陣形を組んでいるの!? しかも片膝までついて私を祭り上げている!?
「優勝候補筆頭者だと!?」
「あの歌劇で有名な渋谷塚高校!?」
「聞いたことがある。入学と同時に3つの高校を支配したという生麦みたいな名前の女子高生がいると!?」
「私も噂を耳にしたわ。混乱と混沌を自由に扱い、挙句の果てには地獄の門すら開閉してしまうとう伝説級の製作委員会の魔女!?」
「ヨモギよ!? ヨモギ!? 薄皮ヨモギよ!」
お、私は有名人~。・・・違う!? 私は静かに悩み事をしていたいだけよ!? どうして私が化け物扱いされているのよ!? お願いだから私を巻き込まないでよ!?
つづく。
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