第51話 51

あなた、悪縁ってある?


私はあるみたい。好きな人に会う時は運命を感じるのよね。でもどうでもいいのや嫌いな奴と会った時は悪縁って言葉を使うのよね。この差はなに?


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。


私の住所は渋谷区渋谷塚。だから渋谷区予選に出るのは普通である。しかし渋谷区ということは松濤、神山、代官山なども渋谷区なのだった・・・。


「ここが会場の渋谷塚ホールだ。」


私は大会当日に逃げ出さないかと疑われひょん教に製作委員会渋谷区大会の会場に連れてこられた。渋谷塚ホール、渋谷塚体育館、渋谷塚スクランブル交差点・・・なんでも塚を付ければいいっていうものでもないでしょうに・・・この気持ち渋谷区民なら分かってくれるはず。


「薄皮さん!? やっぱりあなたも出場するのね!?」

「薄皮さん!? さすが我がライバル!」

「薄皮さん!? どこに行っても出会ってしまうのね!? まさに運命!」


うわあ・・・会いたくない・・・誰がライバルよ・・・もう、運命はベートーヴェンだけにしてよね。私は不幸にもアンコ、ツブコ、ズンコの和菓子三姉妹に出会ってしまった。んん!? なにか嫌な予感を感じるのは私だけかしら?


「おい、薄皮。おまえ製作委員会はテーマを議論する青春委員会なのに、変な連中に絡まれて大丈夫なのか? と疑心暗鬼になっているだろう?」


その通り! ・・・クソ!? なぜかひょん教に心を読まれてしまうというか、ひょん教と精神状態がシンクロして意思疎通ができてしまう・・・。こんなんで私も製作委員会も本当に大丈夫なのか!? 本当に心配してしまうわ。


「心配ご無用! 渋谷区には住みたい街上位の恵比寿、渋谷センター街の宇田川、なぜか渋谷区の代々木、なぜか港区でない広尾、原宿・表参道の神宮前など渋谷区の区大会だけでも、まだまだ強豪校がいる。これだけいれば何とかなるだろう! ワッハッハー!」


笑うなよ。ひょん教。周りから見られている・・・恥ずかしい。確かに私のような渋谷塚高校という新しい高校もあれば色々な高校もあるだろう。だが、そんなに都合よく青春一直線なアイドル路線の女子高生がいると思うか? 無理無理。この日本の十代は学校でいじめしか学ばないから勉強もできなければ将来を悲観して高校を卒業したら就職先も無いからキャバクラや風俗に就職する時代に・・・。


「着いた! ここが製作委員会の会場ね!」

「やった! 着いたよ!」

「遅刻しないでこれたね!」

「私たちはやればできる子です!」

「みんな! 金メダルが欲しいよね!」

「がんばろう!」

「おう!」


な、なんだ!? この青春な展開は!? こいつらどこから湧いてきた!? 一度に5人も沸いてきて私は知らないぞ!? キャラ設定に苦労しても・・・。でも元々はこういう青春作品を想定していた製作委員会物語だったはず・・・どこから特殊能力有りの読者層ウケを考えた異世界ファンタジーぽい奇特な作品になったんだ? まあ、今となっては手遅れか・・・。


つづく。

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