第75話 75

あなた、苦手なことってある?


私はある。人前で話すのが苦手だ。たぶん内気とか、そういうことじゃないと思うんだ。とにかく私は私の思ったことを私の言葉で私の声で発することが苦手なんだ。


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。

NJK(何か取り柄のある女子高生。)

「解決(ソルーション)!!!」


なぜそうなったのか私なりに悩んだ答えが、子供の頃から悩み続けている私は、きっと生意気な子供だったと思う。悩みニストの私は子供の頃からブツブツ独り言のように言い続け、周りの子供から、くどいくどいと否定され続けて、私のお花畑の世界、悩み事の大国にたどり着いて、下界との交信を断絶してしまったのだろう。良かった。最終決戦の前に私の幼少期の設定もできて。それでは私の活躍する本編をどうぞ!



「・・・。」


アンコ、ツブコ、ズンコ、サクコ、タイコ、ハチコ、キンコ、クレコ、ウイコ。私の友達。もう、いいよね。私が私の想いの宿った言葉を唱えて覚醒しても? 私はみんなの夢や想いを託されているんだ。この東京都大会を優勝して、みんなを全国大会に連れて行くんだ!


「フレ~! フレ~! 薄皮さん!」

「ゴー! ゴー! 薄皮さん!」

「いけー! ヨモギ!」


ありがとう、みんな。・・・私、絶対に勝つからね! 私は私の想いの宿った言葉を唱えて覚醒することを決心する。


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。


特に見た目的に髪の毛の色が金色に変わる訳も無く、髪の毛が逆立つ訳でもない。ただ普通の人間のように普通におしゃべりができるようになるだけ。ただ無口な私の一言は重みがあり、私の一言は世界を凌駕する。


「無視なんかしてないわ。ちょっと悩み事をしていて聞いてなかっただけよ。私は製作委員会渋谷区代表、渋谷塚高校一年、薄皮ヨモギ。私もあなたたち同様、NJK(何か取り柄のある女子高生。)よ。人は私のことを混沌の女神と呼ぶ。悪いけど優勝するのは私よ!」


い、言えた! 私が私の心の中で思っていたことを言えるだけでなんて気持ちいいんだろう! 快感ー! これがチョー気持ちいいってやつなのね! 私が言葉を発するだけで、まるで口から炎を吐いているみたいで興奮する!


「残念。今更、自己紹介をしても手遅れですよ。」

「そうそう。私たちは、まずあなたを倒すって決めたの。」

「壊してやるから、大人しくしてな。」


私は知った。せっかく私が私の想いを伝えても相手には届かないこともあると。悲しいね。私たちには、こんな出会いしかなかったのかしら、私たちは出会わない方が良かったのかしらと思わず悩み込んでしまう、ピュアな私。え? 少しヨモヨモ可愛すぎって? そんなことは分かっているわよ。だって私だもの。ちなみに私を否定する意見は却下します。


「フッ。こちらこそ、願ったり叶ったりだわ。一人一人相手にする時間がもったいないから、一度にまとめてかかってきなさい。多勢に無勢が悩み事の前では無意味だということを見せてあげる。」


さあ、みなさんお待ちかね。混沌(カオス)ショータイムの始まり! 大人の階段上るわよ! 一人3000円は払ってね!


つづく。

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