第17話 17
いつの頃からだろう? 去年は桜の花が見たかったのに、今年は桜の花を見たくない。それは去年は中学校という閉ざされた空間からの解放を意味し、今年は高校に入学というレベルアップした閉ざされた空間への拘束を意味するからだ。私は望んで入獄する訳ではない。ただ入らなければレールから外れた人間として、日本では白い目線で見られることになる。昔、悩み、私が出した結論だ。
「zzz。」
私は知っている。私が眠っていても時間が進むことを。私が起きていようが眠っていようが世界は動いているということを。私は今日できることを今日行い、やっと暖かい布団で眠りについた。たくさん悩んで疲れていたのだろう。そして私は明日も悩んで、悩んで、悩み続けるだろう。
「なんだ!? この動画は!?」
人々は驚愕した。ネットにあの動画が投降されている。動画は動画投稿サイトだけでなく、全ての新聞、テレビ局、おまけに内閣府まで、ありとあらゆる所にネット経由で送信されていた。
「ジャパン・オーマイガー!?」
私は何事も全力で悩むタイプだ。動画はネットで全世界に配信。世界中が日本の女子高生をJKとして、日本の10代の教育に批判が殺到した。
「この子、教育委員会の委員長の娘なんだって!?」
「警察署長の娘に、PTA会長の娘までいるの!?」
「うわ~超最低! ヤバくねえ!?」
ネットの掲示板では、さっそく犯人探しが始まった。直ぐに実名、自宅住所、通学学校、親の職業などは暴かれた。私は知っている。何事も無かったかのようにもみ消す学校や警察より、ネットの住民の方が操作能力とネットデモを起こし抗議してくれると。
「はい!? はい!? ただいま真相を確認中です!?」
もちろん学校、教育委員会、警察署、加害者の自宅にいたずら電話? 正義の電話? んん・・・冷やかしの野次馬電話が殺到した。
「申し訳ありませんでした。」
面白いことに世界中に恥をかかされた内閣総理大臣から謝った。そして文部科学省が動き出し事件の真相解明委員会が発足。謝罪会見を終えると校長、教育委員会長、警察署長は更迭させられた。そじて実名が公表された粗大ごみ3人組はほとぼりを冷ますために転校して行った。
「・・・ぜ、ぜ、絶対に許せません。」
しかし、一度動き出した歯車は止まることを知らず、被害者が大人数の弁護団に守られながら顔を公表しないことを条件に記者会見した。もみ消されていた事件の被害者は警察に被害届ををすることが決まった。ここからが日本の変わった所で3人中主犯格とされた二人だけが少年院に送られ、残りの一人は煽っていただけで実行犯ではないと警察署長の娘だけは許された。被害者が納得がいかないので裁判をすることにした。彼女は死にながら生きることよりも、戦って生きていくことを選択したのだった。
「おい、薄皮。薄皮ヨモギ。」
私はというと、自分の悩み通りにストーリーが進むのを、冷静に楽しんでいた。
つづく。
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