第68話 68
あなた、欲しい物はある?
私はある。光る剣。蛍光灯の様に光る剣。よく外国の映画で仮面を被った悪役が振り回しているライトセイバー的なヤツ。
ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。
NJK(何か取り柄のある女子高生。)
「解決(ソルーション)!!!」
結論として、意見を言い合って私の意見と他人の意見を言い合っても一つに交わるどころか、険悪な雰囲気になってしまう。人間と人間は分かり合うことはできないのだろうか? 人と人が互いに手を取り笑いあい助け合い平和に暮らせる日が来ることはないのだろうか? 悩みの哲学者、薄皮教授より。
「みなさん、本日は製作委員会東京都大会にお集まり頂きありがとうございます。代表して東京都知事が挨拶させてもらいます。おこしやす。」
な、なぜ!? 京都弁!? まさかの東京都(ひがしきょうと)知事で押すつもりか!? ・・・まあ、いいわ。掴みとしてはOKよ。それにしても会場が暗くて出場者の他の生徒の顔や姿がよく見えない。奴はどこだ? 大勢の大人の前とはいえ、あれだけの傲慢さんが静かに黙っていられるとは思えないんだけど。やっぱり彼女もNJK(何か取り柄のある女子高生)なんだわ。只者じゃない・・・恐るべし。私は手に汗をかいているのに気づいた。
「それでは製作委員会東京都大会のテーマは・・・光り輝くニューシティ! 東京です!」
・・・くさ。臭い臭い。臭うはここまで。どんなに大人がきれいな言葉を並べても、新聞やニュースを見ている女子高生なら分かるわ。今の日本人の6人に1人は貧困で、日本人の2人に1人は貯蓄が無い。若者の就職も語学力が無いと、大学新卒よりも外国人留学生を採用する現実社会。日本の若者はホストかキャバ嬢にしかなれない時代に、どんな輝かしい光る未来が待っているというのよ!?
「それでは東京都大会のルールを説明します。各区の代表生徒には光る剣を支給します。それで他の生徒を倒し、最後まで残り東京都を一番長く輝かし続けた生徒に製作委員会全国大会の出場権を与えることにします。」
な、なんという、こじつけな。こんな暴挙が許されていいのか!? むむ!? 前に何か出てきたな。光っている? あれが東京都を照らし続けるという蛍光灯だな。そうか、それで会場が節電で暗かったのか。なかなかの凝った演出だな。・・・いやいや。ここは感心するところではなかった。妙な所で脱線してしまうのが私の悪いクセだな。悩み過ぎなのも考え物だな。この大会が終わったらバカンスにでも行こう。狭い押し入れに閉じこもって寝袋に包まり誰にも邪魔されず悩み事の夢の世界で過ごすんだ。
「それでは製作委員会東京都大会の開幕です!」
こ、これが私の剣・・・。私は支給された光る剣を眺めていた。きれいな光などと物思いに耽る訳は無く、蛍光灯の光を見つめながら、この光なら薄暗い部屋で催眠効果もあり私の悩み事の世界にしっかりと入れて楽しいのではないだろうかとヨモヨモしていたのであった。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。